April 3, 2017
グーグルCEO「20年後、あなたが望もうが、望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される。」

昨日、グーグルの創業者であり、現CEOのラリー・ペイジがファイナンシャル・タイムのインタビューに答え、検索エンジンで得た巨額の利益を次の10年、20年でどのように使おうとしているかを具体的に述べました。

「必要な情報をすべてのユーザーに届ける」という壮大なミッションを成し遂げたグーグルが次に目指すものは、世界全体の効率を上げ、人類の文明を前進させるものかもしれませんが、ペイジの話を聞いていると、みんながみんな幸せになれるわけではなさそうです。


↑グーグルの巨額なお金が動き出す。(Pic by Gigaom)

まずペイジが必ず起こると断言していることは、人工知能の急激な発達により、現在日常で行われている仕事のほどんどをロボットが行うというもので、近い将来、10人中9人は今とは違う仕事をしているだろうと述べています。

「テクノロジーは仕事の効率を10%向上させるものではなく、効率を10倍良くするものです。あなたの生活は今よりも劇的に良くなり、生活にかかるコストも信じられないほど安くなるでしょう。」


↑人間が車を運転しなくなる日も近い。(Pic by Flickr)

しかし、テクノロジーが発展すればするほど、人間が物理的に行う仕事はどんどん無くなっていき、オックスフォード大学の調べでは、現在人間が行っている47%の仕事が20年以内に機械によって代行され、
ビル・ゲイツも人々にしっかりと来るべき未来を意識するようにと警告しています。

「ソフトウェアが運転手やウエイター、そして看護師の代行をするため、仕事の需要がどんどん減っていくだろう。特に大したスキルを必要としない仕事は次の20年でどんどん少なくなる。だけど、まだ誰も心の準備ができていないように感じます。」


↑創造性を必要としない仕事はすべてテクノロジーに代行される。(Pic by Flickr)

グーグルCEOのペイジもテクノロジーが仕事を奪うことは、人々から生きる意味を奪ったり、民主主義の崩壊に繋がるかもしれないと考えながらも、効率を上げられるのに、それをしないのは罪同然だとして、検索エンジンで得た巨額のお金をどんどん投資していく考えのようです。

「コンピューターが数多くの仕事をするようになる。これは私たちが “仕事をする” という考えを大きく変えることになるだろう。あなたはこんな現実は嫌だと思うかもしれないけど、これは必ず起こることなんだ。」(ラリー・ペイジ)


↑あなたが望むかは別として、必ず起こる未来だ。(Pic by Flickr)

またテクノロジーが仕事を代行し、人がどんどん削減されることで、家の値段はどんどん下がっていき、急激なデフレが起こります。

しかしペイジは資本主義の観点から考えると、”非効率” をテクノロジーで代行することは良いことだと考えており、たびたびこのことについて、スティーブ・ジョブズと議論したそうです。

「ジョブズはよく僕に言っていた。”君はやり過ぎだ” ってね。でも僕はこう言われて嬉しい。だって僕はジョブズに対して、まだまだやれると思っていたから。」

「人々が満足できないことに対して、僕たちが巨額のお金を投資することで、世界をより良くしていく。ただ同じことを繰り返したり、新しいことをしないことは罪だと思う。」(ラリー・ペイジ)


↑ペイジがやり過ぎか?ジョブズはまだまだやれたのか? (Pic by Flickr)

実際、人間の仕事を機械が代行すると、生産性が上がり、国はどんどん繁栄していきますが、人が必要なくなるため失業する人たちがどんどん増えていきます。

すでに2000年の時点で、この現象は現実化し始めており、生産性は上がっているのに、そこに雇用が生み出されてないというジレンマが今後もどんどん拡大していくのではないでしょうか。

堀江貴文さんも会社を経営していた頃は、周りから「IT業界は雇用創出できない」とよく言われたそうですが、確かにその通りで、どんな優秀なトレーダーもスーパーコンピューターの頭脳にはかないません。


↑生産性は上がっているのに雇用が生み出されていない。(Pic by Flickr)

これに対する答えは、残念ながら誰一人持っていません。ただスティーブ・ジョブズはパリの街を歩きながらアタリの創業者、ノーラン・ブッシュネルに次のように話したそうです。

「ここは創造性がとても豊かですばらしい。たくさんの人が自分の仕事をきちんとやり、それで食べていけるなんてすごいですね。コンピューターがあれば、クリエイティブな暮らしができる人はもっと増えるんだけどな。」


↑創造性で食べていけるのは素晴らしい。(Pic by Flickr)

ベンチャー・キャピタリストの中には「人間を排除する」のが一番だと嬉しそうに語る人も多くいます。

テクノロジー嫌いの人たちは、機械に仕事を奪われることを恐れるあまり、いっそ新しいテクノロジーの開発はすべて止めてほうがいいと思っています。

しかし、これはあくまで個人的な意見ですが、コンピューターは人間を補助するものであって、人間に替わるものではないと思います。

元ペイパルCEOのピーターさんが述べているように、これから数十年の間に最も価値ある企業を創るのは、人間をお払い箱にするのではなく、人間に力を与えようとする起業家ではないでしょうか。

これが正しい未来でありますように。

/AUTOMATION