January 8, 2015
あなたは次の車をスマホと同じようにOSで選ぶ。

リーマンショックのような大きな経済のリセットが起こると、業界のイノベーションがやりやすくなるとよく言われますが、現在、グーグル、アップル、マイクロソフト、そしてイーロン・マスク率いるテスラ・モーターズなど、自動車業界に大きなイノベーションを起こそうとしています。

従来、自動車のイノベーションは、工業都市であるデトロイトから始まっていましたが、車の自動運転や社内のオペレーションシステム、そして地球に優しい電気自動車など、多くの課題はコンピューターの進歩に託されているため、自動車大手のGM社やフォード社なども、シリコンバレーにアイディアを求めているようです。


↑エリック・シュミット「車の運転は人間よりも、コンピューターの方が上手いからね。」(Pic by Flickr)

未来の車は、高性能のアプリが内蔵された高価スマートフォンに4つのタイヤが付いたモノになるかもしれないと、ワシントンポストは述べていますが、平均的なアメリカ人は1日平均1.2時間、車で移動しており、もしテクノロジーの力で車の運転が自動化されれば、移動時間をどう楽しく過ごすかが、車を選ぶ上で重要になってきそうです。


↑グーグル「高価スマートフォンに4つのタイヤが付いたモノになるかも。」(Pic by techcrunch)

現在、アップル、グーグル、そしてマイクロソフトの3社が競って車のオペレーション・システムを開発しており、マツダのマネージャーを務める岡野氏は、次のように述べています。

「アメリカではインフォテイメント(情報と娯楽を合体させた言葉)との連結性は、車を選ぶ上で最も重要になってきています。」


↑車もOSで選ぶ時代へ。(Pic by Appleinsider)

グーグルの創業者、セルゲイ・ブリンは5年以内には自動運転の車を走らせたいと述べており、スマートフォンへのアンドロイドOSの導入数は10億台を超え、現在、地球上に存在する車の数とほぼ同じになってきています。

自動車産業は人々が思っている以上にITと繋がっており、ゼネラルモーターズの最高情報責任者、Philip Abram氏は次のように述べています。

「人々はポケットに入れるもの(OS)の選択はすでにした。ポケットに入っているものが何であろうと、ゼネラルモーターズは、それと繋がらなければならない。」

車が自動運転になれば、人間はただイスに座っているだけなので、iMessageやSiri、そしてスポティファイ(定額で音楽聞き放題のアプリ)など、スマートフォンで使えるものは車でそのまま使えるのが、当たり前の時代になってくるのかもしれません。


↑グーグルの創業者「5年後には自動運転の車を走らせたい。」(Pic by Flickr)

そしてもう一つ、ガソリンという深刻な問題を解決しようとしているのが、Paypalの創業者、イーロン・マスク率いるテスラ・モーターズで、テスラ社は自動車会社にもかかわらず、本社、生産工場ともに施設のほとんどをシリコンバレーに置き、数学や科学、そして問題解決に優れたエンジニア達が開発を日々続けています。

イーロン・マスクは「地球が時代遅れの燃料とおさらばし、我々の子孫が誇りを持てる持続可能な社会をつくる。」と述べていますが、人間は何千万年と受け継がれてきた地球上の資源を、わずか数百年で使い果たそうとしており、自動車業界のイノベーションという領域を超えて、地球レベルで問題解決をしようとしている人たちが、シリコンバレーには自然と多く集まってくるのではないでしょうか。


↑イーロン・マスク「ガソリンをがぶ飲みする時代はもう終わりだ。」(Pic by Flickr)

IT企業が自動車産業にイノベーションを起こしているのは、ほんの一例に過ぎませんが、まだ世の中に存在する99%の物理的なものは、まだインターネットに接続されておらず、この先コンピューターの力が人々の生活をもっと快適にしたり、まだまだ解決できていない地球規模の問題に対してのソリューションを見つけていくことは間違いありません。


↑99%の物理的なものはまだインターネットに繋がっていない。(Pic by Flickr)

「フラット化する世界」の著者で、世界的に有名なジャーナリスト、トーマス・フリードマンは次のように述べています。

「歴史を振り返ると、大きな問題を解決する方法を思いついたり、創り出した国は、その後の時代を大きくリードしている。そして適応できなかった国は、押しやられて滅びる。このエネルギー気候紀元の中で、アメリカは前者でなければならない。」


↑歴史を振り返ると、大きな問題を解決する方法を創り出した国は、その後の時代を大きくリードしている。(Pic by Flickr)

日本ではまだまだIT企業が地球レベルの問題に対するソリューションを提示したり、他の業界に劇的なイノベーションを起こしているという話はあまり耳にしませんが、いくら東京でオリンピックが行われて、国内の景気が回復したところで、次の時代へと受け継がれる普遍的価値を生み出さなければ、世界の人たちは認めてはくれません。

バイラル・メディアで一儲けしようとするには悪くないかもしれませんが、ITやテクノロジーの力を使って解決できる問題は、まだまだ無数にあるのではないでしょうか。

(Eye Catch Pic by Canadianbusiness)

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