(image:Steven Zwerink/Flickr)
CEOの給料は企業によって大きく違い、特に実力社会のアメリカではCEOの給料が従業員の何百倍という企業も珍しくありません。
しかし、最近では自分の給料を1ドル(約100円)に設定するCEOも増えてきており、スタートアップや大企業に関わらず、CEOの給料が企業の発展に大きく影響すると様々なリサーチが伝えています。
ケンブリッジとパデュー大学の合同リサーチで、1500社の企業のデータをもとに、1994年から2013までのパフォーマンスを「3年単位」で調査した結果、CEOの給料が高ければ高いほど、会社のパフォーマンスが悪く、3年単位で会社の成長を見た場合、CEOの給料が高い会社は同じ業界のそうでない会社に比べて、株主のリターンが22%も低かったそうです。
↑CEOの給料が高いと株主のリターンは22%も低かった。
PayPalの共同創業者であり、投資家として大企業からスタートアップまで数々の企業を見てきたピーター・ティール氏は、投資家としてスタートアップのモチベーションを知りたいのなら、CEOの給料に注目すべきだとして次のように話しています。
「僕はかならず、投資を求める起業家に、自分自身にはいくら払うつもりかと聞くことにしている。CEOの給料が少なければ少ないほど、会社はうまくいく。これまで数百のスタートアップに投資してきた中で、僕が気づいたひとつの明らかなパターンがそれだ。」
↑ピーター・ティール「CEOの給料が少ないスタートアップは上手く可能性が高い。」(Flickr/JD Lasica)
アメリカで急成長しているクラウド・ストレージ・サービス、BoxのCEO、アーロン・レヴィ氏は自分の報酬が社内でいちばん低くなるようにいつも気をつけており、起業から4年たっても一部屋のアパートに住み、布団以外の家具は何も買わなかったそうです。
さらに食事はマクドナルドで済ませ、今までで一番の贅沢はiPhoneを買ったことだと述べており、多くの社員がアーロンの熱意を手本としています。
スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグも自分の給料を1ドルに設定しています。金融危機の際にクライアントに大損をさせ、自分だけ膨大な給料を受け取っていたCEOが自主的に減給したという例は聞いたことがありますが、乗りに乗っている企業のCEOがなぜ給料を1ドルに設定するのでしょうか。
PandoDailyの記事によれば、給料を1ドルに設定することは世間に対する強いメッセージであり、長期的に考えて絶対に成功するという自信の表れを示しているそうです。
↑これはパフォーマンスじゃない。自信の表れだ。
もちろん、給料1ドルを宣言しているCEOは、すでにストック・オプションなどで巨額の富を得ていますが、フォーチュンの記事によれば給料1ドルを宣言しているCEOはそうでないCEOに比べて、少なくとも2倍は楽観的で自信家なんだそうです。調査に関わったAaron Boydさんは次のように述べています。
「桁外れの人達から桁外れの企業が生まれる。ついでに彼らの給料も、ある意味”桁外れ”。どちらにしても彼らが中流階級でないことは確かだね。」
↑エリック・シュミットも給料は1ドル。(Flickr/Fortune Live Media)
企業ビジョンも含めて、きれいごとを語る人は多くいますが、本当に実行に移せる人はなかなかいません。
特にベンチャー企業などは会社の口座=社長の口座みたいになっていて、会社とは全く関係ない私物までどんどん経費で落とされているケースも結構多いのではないでしょうか。
もうちょっと大きくなったら、きっちりすればと思う心が一番の命取りです。