特に日本では「営業」という力技が得意であり、「マーケティング=広告&宣伝」、すべてKPIやコンバージョン率で管理され、効果がでなければ一ヶ月で中止という感じで、どうしても長期的な観点でマーケティングし、新しい市場を創造するということができていません。
アメリカの起業家、ゲイリー・ヴェイナチャックさんはマーケターがすべてを台無しにしたと述べていますが、日本でもアメリカでもソーシャルやWeb広告を使ったプッシュ型の広告が多くなり過ぎたため、メールで○○%引きのクーポンが送られてきても全然嬉しくなくなってしまいました。
↑マーケターがすべてを台無しにしたんだ。(Affiliate Summit by Flickr)
ゲイリーさんは次のように述べています。
「なんでメットライフがスヌーピーを使うと思う?保険というもの事態がものすごく退屈だからだ。どんなビジネスだってそうさ。」
「ストーリーを付加価値にすることがものすごく大事なんだ。タイムマシーンがあって、1968年に戻ったとしよう。それでペットボトルの水を3ドルで売ろうとする。その時代の人は何て言うと思う?
Get the f**k out from here!! (消え失せろ!!)」
水は水でもアルプスの麓から湧き出る水とか、消費者が体の中に入れたくなるような付加価値の高いストーリーを考えることで、ペットボトルの水でも3ドルで売れますし、ゲリーさんはいわく、基本的にビジネスというものは退屈で、それをどれだけ面白く伝えられるかがすべてなんだそうです。
↑ストーリーを語ることで付加価値が付く。
ソーシャルメディアというプラットフォームがマーケターを一気にだらけさせてしまいました。
ソーシャルメディアを拡散ツールだと考えている人たちは、自分たちのサービスや商品を一気に広げることができる凄い秘密があるのではと、「○○日で絶対に売上げが上がるソーシャルメディア・マーケティング」みたいな本を手にとったり、それらを扱う企業に問い合わせをしたりしますが、彼らのほとんどが「マーケティング=広告&宣伝」と考える人たちではないかと思います。
アドネットワークを扱う会社がマーケティングという言葉を使うのはナンセンスですし、○○マーケティングなどと、流行の言葉を追いかける人たちは「マーケティング」という言葉をもう一度辞書で調べ直す必要があります。
さらに技術のことなど一切知らない人たちがSEOでページランキングを操作したり、リスティング用の広告をカスタムオーディエンス機能を使って、Facebookのフィードに表示したりと、知識のない人たちがマーケティングをどんどん台無しにしています。
SEO業者がやっと減り始めたと思ったら、今度はSKOという手法が出てきたと聞いた時には正直吐き気がしました。
↑マーケティングという言葉をもう一度辞書で調べ直す必要がある。
マーケティングとは「○○が流行っている」とトレンドを追いかけて伝えることではなく、「Awareness=気が付かせること。」が基本です。これからはネイティブアドの時代など騒ぐ人がいますが、それはただ広告だと気づかないようにコンテンツ化しただけで、所詮「広告2.0」といった感じです。
よ
く朝の情報番組などで○○が大流行などとアナウンサーが言っていますが、もし本当に大流行しているならもうすでに知っているはずです。
○○万ダウンロード達成、みんな使っている○○アプリなどという広告も見かけますが、周りで使っている人がいないことが不思議ですし、みんな使っているんだったら何で広告を出しているのか理解に苦しみます。
↑パタゴニア「ネイティブアドとか言ってる暇があったらストーリーを語ろう。」(Nicolás Boullosa by Flickr)
田端信太郎さんの記事の中でも述べられていますが、需要自体を作るのが大事ではないかと思います。○○が流行っています、とトレンドを追いかけるのではなく、自分たちの業界はこうあるべきだというトレンドを作っていくことが求められます。
とにかく、グーグル・アナリティクスのレポートを奇麗に作っている暇があったら、もっと付加価値の高いストーリーを考えましょう。広告は止めてしまえば、すぐ忘れられてしまいますが、感情に突き刺さったストーリーはそんな簡単には忘れられないのですから。