March 21, 2017
Facebook元役員「プログラミングを学ぶのなら、生涯仕事に困らないことを私が保証しよう。」

1990年代後半から2000年代前半辺りまで、プログラミング言語を学ぶなど一部のコンピューターオタクがすることであって、10代や20代の好奇心旺盛な若者が学ぶことにはとても思えませんでした。

当時ちょうどグローバル化が本格的にスタートした時期でもあり、プログラミング言語なんかを学ぶをよりも、英語を学ぶことに力を入れる学生の方が圧倒的に多かったように思います。


↑1990年代、プログラミングはまだまだオタクの領域だった。

当時、僕の周りでも多くの人がサッカーや野球に夢中になる中で、コンピューターに夢中だった友達は「オタク」、「性格が暗い」など言われ、とても女の子にモテたり、学校で人気者になる存在ではなかったように思います。

そんな中、もし僕がこのビル・ゲイツ氏の言葉を聞いていたらコンピューターに夢中になる友達の視線も変わっていたのかもしれません。

「オタクには親切に。あなたたちは、いつか、彼らの下で働くことになるでしょうから。」

オタクに親切しなきゃいけませんよ。(crowdspring)

それから約20年経ち、僕たちの日常生活のあらゆるところにテクノロジーが使われ始めて、約20年前、「オタク」と罵られた人達の給料は一般サラリーマンの2倍、もしくは3倍とも言われ、ゲイツ氏が忠告した通り、当時オタクと言われた人達が中心の世界が今、幕を開けようしています。

ユーザーの検索の動向を調べるグーグル・トレンドによれば、人々は2008年の後半頃から本格にプログラミング言語に興味を持ち始めましたが、2013年頃まではまだまだその重要性に気づいていませんでした。

しかし、多くのIT企業が短期間で成長し、人々の生活を劇的に変えていくの目の当たりにした人達は徐々にプログラミングに重要性に気づき始め、ついには政府までもが動き出しました。オバマ大統領はアメリカ国民に向けて次のように語りかけています。

「コンピューターを勉強することはあなたの未来のためだけじゃないんだ。アメリカの未来がかかっている。」


アメリカのためにプログラミングを学んでくれ。(iStock)

「テレビゲームをやるだけではなく、自分で作ってみよう。最新アプリケーションをダウンロードするだけで終わらず、デザインしてみよう。電話で遊ぶだけじゃない、プログラミングをしてみるんだ。」

他にもCode.orgという非営利団体を通じて、ザッカーバーグ氏やビル・ゲイツ氏などの著名人が
プログラミングの重要性を語りかけていますが、その中で世の中に一番影響を与えたのプロバスケットボール選手のChris Boshさんの問いかけでした。


様々な起業家がプログラミングの重要性を語る。(Code.Org)

子供の頃からコンピューターに興味に持っていたBoshさんは学校で「Witz Kids」というコンピューター・クラブに職属しましたが、バスケ仲間から「なんでそんなクラブに参加するんだ?」とよくバカにされたそうです。

Boshさんはプログラミングを学ぶ子供たち対し
次のように述べました。

「オレが高校生の頃、フリースローを10本連続で決めるまで練習を終わらなかった。プログラミングも同じことだ。自分でリピートする回数を決め、”命令”を何度も何度も繰り返すことが重要なんだ。」


↑CSSを書くの大好きなBoshさん。

僕たちのポケットに入っているiPhoneは30年前に発売されたコンピューター、ZX81と比べて100,000倍速く、10,000,000倍のメモリー容量があります。

Twitterの創業者、Jack Dorseyさんが言うようにボタンをクリックするだけで人々の生活を変えてしまうことができる時代は、何千年もの人類の歴史を遡ってみても、前例がなく、僕たちが人類史上初めて体験することになるのです。


こんなエキサイティングな時代はないだろう。(Code.Org)

みんながみんなプログラミングを学び、エンジニアになる必要はありません。しかし、これだけテクノロジーが僕たちの生活に浸透している中で、多くの人がプログラミング言語を知らず、生活を快適にするためのサービスを作るエンジニアが不足しているのが現状なのです。

Facebookの元役員だった、Chamath PalihapitiyaさんはTech Crunchのインタビューで次のように答えました。 

「プログラミングを学ぶのなら、生涯仕事に困らないことを私が保証しよう。」

プログラミングが理解できなければ、私があなたを雇うことはないだろう。

現在、不況という言葉をあざけ笑うように、プログラミングの需要は世界中で拡大し、2010年、プログラマーの中間給料は約900万円、2020年までに140万人のプログラマーが必要なまでに需要は拡大しますが、このまま行くと2020年に存在するプログラマーはたった40万人、約100万人のプログラマーがアメリカだけでも足りなくなるということになります。

ザッカーバーグさんも会社のポリシーとして、実力のあるエンジニアはどんどん採用していくという方針を掲げていますが、まだまだしっかりとトレーニングされたエンジニアが国内におらず、海外にも目を向け、採用活動を強化しています。


Facebookでもエンジニアが全然足りていないんだ。(Code.Org)

プログラマーが足りなくて困っているのは大人だけではありません。14歳でアプリ・エンジニアを育成する学校、「Menlo App Academy」を立ち上げたMax Colbert君がエンジニアのカンファレンスの顔を出すと、彼の周りは人で埋め尽くされます。

「カンファレンスに行って、もしエンジニアが必要なら声をかけて下さい。って言ったら、もうドアのところまで行列ができたんだ。数えきれない人達がこんなアプリを作りたいが、良いプログラマーはいないか?と聞いてくるんだよ。」


↑14歳でエンジニアを育成する学校を立ち上げる。

現在のホワイトカラーの仕事はエクセルや
Emailを使うのが当たり前のように、近い将来、ホワイトカラーの仕事はプログラミングの知識が必見になってくることは間違えありません。

Time誌のデジタル部門の責任者を努め、現在はPubMaticというスタートアップの代表を務める、Kirk McDonaldさんは大学生に向けて
次のような厳しいメッセージを投げかけています。

「あなたが夢見る仕事がマーケティングや営業で、プログラミングがあまり必要ない部署だったとしましょう。でも会社全体がどのように機能しているかあなたが理解できないようであれば、私があなたを雇うことはないだろうし、おそらくこう考えるのは私だけではないと思います。」


↑プログラミングを理解できない人は必要ない。

プログラミングは複雑な数式が永遠と続き、長時間一人でひたすら机に向かっている印象がありますが、このスキルをマスターすることであなたの人生は大きく変化します。

プログラミングの経験がなくても、
San Francisco Developer Bootcampの「Ruby On Rails」という10週間のコースを受講した21人中15人が平均年収790万円のオファーを受けていますし、人生に生きる希望を失くしたホームレスさえも、「100ドルかプログラミングのスキルを勉強する機会のどちらをもらうか?」という問いかけに対して、後者を選んでいます。


↑プログラミングのスキルは一生の宝だ。

最近、日本の職場では第二言語を習得する必要性に迫られ、英語を「第二言語」として選ぶ人が多いですが、アメリカ人はプログラミング言語を「第二言語」として習得しようと頑張っているようです。

女性のプログラミング習得をサポートする「Rails Girls」の創業者でフィンランド出身のLinda Liukasさんはプログラミングを「言語」として習得する課程を面白く表現しています。

「もしJavascriptが世界の共通言語なら、もう私たちには文法のレッスンは要らないけど、詩のレッスンが必要ね。」

50%はエンジニア、そして50%はマーケター、あなたがなるべきはグロース・ハッカー

これまで、企業のWebマーケターというポジションに就くためには、グーグルアナリティクスやインサイトを分析する力が必要なだけで、エンジニアの知識はほとんど必要ありませんでした。

しかし、現在ではEmailテンプレートやランニングページ、さらにはグーグルアナリティクスの一段階上の機能を持つHubspotなど、マーケターもプログラミングの知識を持っていないと成果を出すことが難しくなってきています。


↑マーケティングとプログラミングの知識を身につける。

テクノロジストで起業家のAndrew Chenさんは従来のマーケティング担当者はじきに職を失うと忠告した上で次のように述べています。

「グロースハッカーという新しい職種は、シリコンバレーの文化と融合していてマーケターとエンジニアのハイブリッドだ。”うちの製品の顧客をどうやって獲得するか”という旧来の課題に、A/Bテスト、ランディングページ、バイラル係数、メール到着品質、オープングラフなどを駆使して答える。これまでのマーケティングチームは淘汰される。

マーケティング担当幹部率いる非テクニカル系マーケターのチームに代わるグロースハッカーとは、エンジニアが率いるエンジニアのチームなのだ。」(グロースハッカー)Loc58


↑Dropboxのグロースハッカー達。

アップルの共同創業者であったスティーブ・ウォズニアックさんによれば、ジョブズはプログラミングを一切しなかったそうですが、その重要性はしっかり理解していたらしく1996年のインタビューで
次のような言葉を残しています。

「この国のすべての人がプログラミングを学ぶべきだ。プログラミングはどのように”考える”べきかを教えてくれる。それは法律を学ぶことに似ている。みんながみんな弁護士になる必要はないが、法律を学ぶことはひとつの事柄を別の視点から考える方法を教えてくれる。私はコンピューター・サイエンスを一般教養だと思うよ。」


↑プログラミングは法律を学ぶようなものだ。(iStock)

プログラミングの知識を持っていない人にとって、ソフトウェアは中の見えないブラックボックスのようなものです。

プログラミングの知識をつけていくことでブラックボックスの中身がどんどん透明になっていくと考えれば、勉強していくのも楽しくなりますし、ユーザーの動向をみながらマーケティング戦略を立てていくこともできます。


↑プログラミングを身に付ければ、これがスケルトンに。

マーケティングの予算がないと言う話しはよく耳しますが、エンジニアの技術思考を持ってマーケティングをしている日本人はまだあまりいないように思います。

しかし、大手のように予算が多く取れるマス広告を使ったマーケティングであれば話しは別ですが、スタートアップ企業のマーケティング担当者はプログラミングを理解し、グロースハッカー思考を持ってユーザー開拓をしていくことが求めれます。

もうプログラミングを理解していないマーケターはスタートアップでは使い物にならないのかもしれません。


↑Airbnb グロースハッカーの代表例。

グローバルでビジネスをするのに必要な言語が「英語」なら、IT業界でビジネスをするのに必要な言語は間違いなく「プログラミング言語」です。英語ができなくても通訳などを通してビジネスはできるかもしれませんが、英語を話すと話さないでは意思疎通の場面で大きな違いが出てきます。

プログラミング言語も同じことで、プログラミングを理解しなくてもマーケティングの仕事はできますが、ソフトウェアの仕組みを理解しているといないでは大きな違いが出てくるのではないでしょうか。

まとめ


↑プログラミングは数学の知識がなくても始められる。(Code.Org)

これから僕たちのライフスタイルはテクノロジーと共存していき、様々な事柄がコンピューターによって処理されるようになります。

生活はどんどん豊かで便利になり、何の問題もないように見えますが、裏側では僕たちの仕事がコンピューターによってどんどん奪われていくことになります。例えばひと昔前まで、電車の切符は改札で駅員が処理していました。

しかし、今はどうでしょう?自動改札機が駅員の仕事を奪いました。松屋に行っても同じことです。店員が食券を販売することは二度とないかもしれません。


↑テクノロジーがどんどん仕事を奪っていく。

今後、プログラミングの知識があるとないのでは会社の待遇も違ってきますし、給料にも大きな差が出てくるのではないでしょうか。しかし、写真のことを勉強して写真家にならない人が多くいるように、プログラミングを学んだすべての人がエンジニアになる必要はありません。

ジョブズ氏が指摘するように、法律と同じでプログラミングを勉強することは、世の中がどのようの機能しているかを理解することなのではないでしょうか。


↑プログラミングは世の中の仕組みを理解すること。

FacebookやTwitterを見れば分かりますが、政策以外で世の中を変える一番速い方法はプログラミングを学ぶことです。SNSはたった数年で友達との付き合い方を変えてしまいました。

でも、いつまでもカリフォルニアの青年達が作ったプラットフォームに依存するのはやめましょう。自分たちの未来は自分たちで作っていくものなのですから。

Eye Catch Image by TechCrunch

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