October 16, 2014
グーグル創業者「質で勝負できないなら、そもそも勝つべきじゃない。悪事を働かなくてもお金は稼げるんだ。」

見せ方、伝え方が大事で、よくスターバックスやレッドブルを例にとってマーケティングやブランディングの重要性を語る方がいらっしゃいますが、グーグル創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、社員が「ブランディング」という言葉を口にすることを許しませんでした。

「ブランディング」をするということは、「検索サービス」が質ではユーザーに訴求できなくなったことを意味したからです。(Google Boys P69)


↑本当に質に自信があるなら、ブランディングなんて必要ない。(Pic by Flickr)

当時はとにかく質の良いサービスを作るため、優秀なエンジニアにしか興味がなく、現在FacebookのCOOを務めるシェリル・サンドバーグを採用しようとした時、創業者の二人はエンジニアではないという理由で、最初は採用を阻止しようとしたぐらいでした。

さらによいモノを作ることに夢中で収益のことなど頭になかった創業者のセルゲイは取締役会で、「その技術でどうやって利益を稼ぐのか」と聞かれ、「代わりにジョナサンが答えるよ、カネを稼ぐのは彼の担当だから」とサラッと答えたと言います。(How Google Works P292)


↑カネを稼ぐのは僕の仕事ではない。(Pic by Flickr)

2001年、当時無名だったグーグルの創業者が日本に来日し、「マーケティングは不要。いい製品を作れば自然と口コミで広がる」と起業して3年間のノウハウを日本の起業家に共有しました。(Google Boys P5)

インターネットの世紀において、ユーザーの信頼は、ドル、ユーロ、ポンド、円といった通貨と同じ価値があるとグーグルは信じており、せっかく同社のサービスを好んで使ってくれるユーザーを欺いてまで利益を上げることはできないと、「Don’t be evil (悪事を働かなくてもお金は稼げる)」のスローガンを掲げ、じっくりと時間をかけて収益源を模索しました。(Google Boys P34)


↑悪事を働かなくてもお金は稼げる。(Pic by Flickr)

以前、「僕らはお金を入れたら動く自動販売機じゃない」という記事の中でも書きましたが、近年急成長をしている企業はお金や権力とは全く別次元の壮大なビジョンを持っており、マーケティングやブランディングなど20世紀の成功体験が忘れられない人たちにはなかなか理解できないものです。

グーグルの元CEO、エリック・シュミットは成功を目前にしたFacebook本社を訪れた時のことを次のように述べています。


↑マークの情熱は桁違いだった。(Pic by Flickr)

「あるとき、パロアルトのフェイスブック本社でマーク・ザッカーバーグとミーティングをした。その時点でフェイスブックが大成功をつかもうとしていることは明白だった。二時間ほど話をして、午後七時ごろにエリックが帰ろうとすると、アシスタントがマークの夕食を運んできて、コンピューターの脇に置いた。マークは机に戻り、仕事を再開した。彼の熱意がどれほどのものか、それを見ただけでよくわかった。」(How Google Works P95)


↑熱意は語らなくても、見れば分かる。(Pic by Flickr)

ユーザーに愛されているグーグル検索は年間約1200億回行われ、一回の検索につき約5円から10円の収益を出しています。モノ作りから生まれた日本特有の質にこだわる経営は近年、マーケティングやブランディングといった「見せかけ」の中に消えてしまっているのかもしれません。

よいモノを作れば売れるという考えは少し甘いかもしれませんが、とにかく製品やサービスのクオリティーにこだわり続けなければ長期的な経営は難しいように思います。

スターバックスやレッドブルはマーケティングで成功したと思っている人は、マインドを20世紀から21世紀にシフトしなければいけません。もうマーケティングやブランディング「だけで」売れる時代ではないのですから。

(Eye Catch image credit: Dearblogger)

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