日本でも猫カフェや犬のためのホテルなど、動物を日常生活で見かける場面が増えてきましたが、統計によれば、アメリカでは約37%、イギリスでも約23%の家庭が少なくとも、一匹の犬を飼っているそうです。
動物と一緒に暮らすことでストレスを軽減させたり、その場の雰囲気を緩やかにする効果があると言われていますが、日本に比べて職場の規制が緩やかなアメリカでも、職場にペットの持ち込みを許可している企業は全体の20%以下に過ぎません。
↑職場規制が緩いアメリカでも、ペット持ち込みを許可している企業は全体の20%以下。(Pic by Flickr)
しかし、職場にペットを連れてくることを許可している企業を見てみると、グーグル、タンブラー、アマゾン、そしてハフィントンポストなど、現在最も革新的な企業が名を連ねており、特にグーグルの犬に対する姿勢は真剣そのもので、同社の犬に関する方針によれば、「イヌ科の友人に対する愛情は、グーグルの企業文化に不可欠な要素」と記載されているそうです。 (グーグルは自分たちのことを「ドッグ・カンパニー」だと説明しており、猫ではダメなのだそうです。)
↑現在最も革新的な企業の犬に対する想いは真剣そのもの。(Pic by Flickr)
麻布大学の菊水教授と東京大学の長谷川教授の研究グループによれば、犬は人間同士の親和性を高める、「オキシトシン」 を活発化させる役割を果たし、上司と部下の関係を向上させたり、社内でのコラボレーションを促進させるなど、下手に外部のコンサルタントに助けを求めるより、犬を2、3匹社内に放し飼いにしておいた方が、解決は早いのかもしれません。
2012年に国際職場保険管理ジャーナルに発表された研究によれば、飼い犬を連れて出勤した従業員の仕事に対するストレスは軽減し、さらに職場に犬を連れてきていない従業員までハッピーな気分になり、職場全体の雰囲気が明るくなったと述べています。
↑犬は人間関係を良くし、コラボレーションを促進させる。(Pic by Flickr)
もちろん、犬が活躍する場は職場だけにとどまりません。
1985年、アメリカ人は、何でも話せる親友が平均3人いると答えていましたが、オンラインのコミュニケーションが加速した事もあってか、現在では親友と呼べる友人は、平均2人しかいないと答えており、犬が人間の生活にもっともっと入り込むことで、友人同士の関係も「いいね!」だけではなく、従来のような、もっと親交の深いものに戻っていくのではないでしょうか。
↑動物はオンラインで失われた人間同士のコミュニケーションを復活させる。(Pic by Flickr)
「飼い主」という言葉の中には、ペットより人間の方が身分が上だという意味が込められているような感じがしますが、それは大きな間違いなのかもしれません。 「マーリー–世界一おバカな犬が教えてくれたこと」の著者、ジョン・グローガンさんは、次のように述べています。
「人は犬から多くのことを学べる。マーリーは喜びを爆発させてめいっぱい毎日を生きること、その瞬間を生きること、心のままに生きることを教えてくれた。」
↑犬は喜びを爆発させて、その瞬間を生きることを教えてくれる。(Pic by Flickr)
犬はとにかく「与えること」の天才です。相手を喜ばせるために、自分自身を相手にさらけ出す、この教訓こそ人間が一番見習わなければならない事なのではないでしょうか。
でも私たちは不安や嫉妬、行き過ぎた競争意識のせいで、犬のように素直に感情を爆発させることができず、不況や社内効率化の波がさらにそれを強めているようにも感じます。
↑「自分自身をさらけ出す」今、職場で一番求められていること。(Pic by Flickr)
従来は、お酒を飲みながら本音を話すというのが、コミュニケーションの一つとして捉えられていましたが、これからの時代は、どれだけ動物が社内にいるかが、企業の透明度を表し、コミュニケーションを促進させる一つの指標になっていくのではないでしょうか。
ハフィントンポストの創業者、アリアナ・ハフィントンさんは、「人間を人間にしているものへ立ち戻るきっかけを、ペットはくれる。彼らは、ちょっと毛深い”最高の私たち”だ。」と述べていますが、グーグルのように犬に社員証を与える企業が増えてくれば、もっと世の中は面白くなっていくのかもしれません。
(Eye Catch Pic Image Credit:thatdogdancingguy)