孫さんの動きを批判する方も多いですが、ここ数年の動きを見ても、企業のビジョンに向けて日々前進しているのが分わかります。
少し前に孫さんはBloombergのインタビューで、アメリカは20世紀のインフラであった高速道路や電化製品においてはダントツNo.1であったにも関わらず、21世紀のインフラであるインターネットのスピードが何でこんなに遅いのか、スプリントを買収してアメリカで21世紀のインフラ整備を始めました。
↑インターネットは21世紀の高速道路 (Pic by Flickr)
孫さんは次のように述べています。
「私はフェラーリ(iPhone)を作るわけじゃない。高速道路(LTEのインフラ)をアメリカに作るんだ。フェ ラーリのような素晴らしい車がスムーズに行き来できるようにね。」
そして高速道路ができたら、花や植物を植えなければならないと考えており、それがインターネッ ト上のコンテンツを意味します。
日本のガンホー、フィンランドのゲーム会社Supercell、韓国の動画コンテンツを配信しているDramaFever 、そして昨年はフランスのメディア会社Vivendi、最近ではドリームワークス買収の話も出てきています。
↑LTEという高速道路ができたら、そこに花や植物を植えよう。(Pic by Flickr)
最近ではグーグルで最高事業責任者を務め、10年近くにわたり活躍したニケッシュ・アローラ氏がソフトバンクに移り、ソフトバンクが本格的にメディアビジネスに力を入れていくのではないでしょうか。
インターネット回線が速くなればなるほど、人々はどんどんテレビから離れていき、PCやタブレットなどを経由してオンライン・コンテンツを消費するようになり、記事から写真、そして動画へとどんどん選択が広がっていくのはもう時間の問題です。
↑自分の好きなものを好きな時に見るのはもう時間の問題 (pic by Flickr)
グーグルの会長、エリック・シュミットの子供も動画を見る際、テレビのリモコンには一切ふれず、すべてタブレットで見るらしいですし、アメリカでは新しいドラマが始まると、毎週月曜日の9時にテレビの前で待っているわけではなく、1話から最終話まで一斉にオンラインでダウンロードできて、自分の好きな時間、好きな場所でドラマを見るのが当たり前になっています。
↑最高のコンテンツをインターネット経由で (Pic by Flickr)
2014年現在、Webコンテンツの配信で上手くいっているところはまだそれほど多くありません。シンガポールで動画配信を提供するVikiもキャッシュ運用の面で厳しく、最終的には楽天の傘下に入る形でサービスを続けています。
最近のnanapiの買収を見ても分かるように大手、中小企業問わず、Web上でユーザーにどう振り向いてもらえるかが大きな課題になりつつあります。
先進国の多くの国では、高速道路の整備が終わり(LTEのインフラ)、ほとんどの人のもとに車(PC、タブレット、スマホ)が行き渡りました。まだまだインターネットを広告やプロモーションのツールとして考える人も多いですが、ソフトバンクがドリームワークスを買収する方向で話が進んでいるのであれば、インターネット上でどれだけユーザーを楽しませることが、今後一番重要になってくるのは間違いありません。
KPIやコンバージョン率をエクセルで表にしている暇があったら、もっともっと脳に汗を書いて付加価値の高いコンテンツを考えましょう。
数字を見てニヤニヤするのはそれからです。
(Eye Catch: Bloomberg)