サイクリング・チーム、イギリス代表のコーチのDave Brailsfordさんが本当にシンプルなやり方で、チームのパフォーマンスを劇的に向上させ、この方法がビジネスの世界でも適応できるのではないかと話題になっています。
イギリス代表はサイクリング界では誰でも知っている伝統的なレース、「ツール・ド・フランス」で一度も勝ったことがありませんでした。
何とかイギリス代表をレースで勝たせるために、Daveさんが取った行動はもの凄くシンプルなもので、サイクリングに関わる全ての事柄を細かく砕いてリスト化し、パフォーマンスを1%だけ向上させるというものでした。
↑Daveさん (Photo)
事細かく分析されたリストの中には、選手がしっかり休めるようにと、毎日同じベッドで同じ枕を提供したり、除菌するための手の洗い方が含まれており、Daveさんはその理由について次のように述べています。
「サイクリングに関わることを細かく調べて、すべての事柄を1%だけ向上させるんだ。もちろん、中にはサイクリングに直接関係のなさそうなこともあるだろう。しかし、それらを細かく分析して1%だけ向上することで、全体のパフォーマンスは驚くほど向上する。」
↑1パーセント、ほんの少しだけだ。(Photo)
実際、1パーセントの向上は目に見えないかもしれませんが、少しずつ改善していくことで、全体のパフォーマンスが劇的に変化していくことに気づきます。
多くの人はシリコバレーの一夜の成功に憧れ、それに向かって一気に方向転換しようとしますが、「成功」とは10万回の小さな勝利と言われるように、丈夫な木を育てるにはまず丈夫な「根」を育てなければなりません。
下記の図にあるように、1パーセントの改善はそれが積もり積もってくると、一気に全体のパフォーマンスを上げますが、一つの小さなミスも同じように積もり積もってくると、最終的に大きなミスにつながります。
↑最初は目に見えない。時間が経つにつれて、それが目に見えてくる。(Photo)
楽天の三木谷さんは次のように述べています。
「たとえ毎日1%の改善でも、1年続ければ37倍になる。1.01の365乗は37.78になるからだ。これは、一人の人間の話だけれど、組織として考えればもっと大きなことが起きる。理論的には2000人の社員がいれば、1日で1.01の2000乗、計算すると4億3928万6205となる。」
↑たとえ毎日1%の改善でも、1年続ければ37倍になる。(Photo)
Yahoo CEOのマリッサ・メイヤーさんはGoogleのエンジニア時代、グーグルのロゴと最初の検索結果との間にある空白について、ごくわずかの幅を何通りも変化させてテストし、ユーザーは空白が少ないほうを好むことを突き止めたり、検索結果に表示される広告の背景色をブルーと黄色で試し、黄色のほうが効果的なばかりか、ユーザーのサイト全体に対する満足度が高まることを突き止めたりして、小さな改善を繰り返してきました。
結果だけみれば、一夜の成功のように思われる出来事も、本当に小さな改善の積み重ねによって大きくなっていることが分かります。
書店に行くと、◯◯日で変われる、◯◯日で絶対に効果が出る、みたいな本が多いですが、そんな本がベストセラーになるようでは、いつまで経っても、景気は良くならないような気がします。