January 2, 2015
同じ過ちを毎年繰り返すな「新年の誓い・抱負の92%は失敗に終わる。」

一年の始まりは、新しい目標を立てるには最適の時期で、多くの人がFacebookなどに今年の目標を投稿し、それに対して友達が、「いいね!」を押したり、コメントを残す風景が最近では当たり前になってきました。

実際、この新年に新しい目標を立てる習慣は、2000年以上も前から行われており、昨年アメリカでは、2人に1人が新しい年の目標を立て、47%が自己の向上に対する目標、38%が体重に関する目標、34%がお金に関する目標、そして同じく34%が人間関係に関する目標を立てて、新しい年のスタートを切ったそうです。(2つ以上の目標を立てる人もいるため、100%を超える。)


↑今年こそはと、一年の初めは情熱が溢れている。(Pic by Flickr)

しかし、ある調査によれば、昨年の初めに立てた新年の目標を、達成できたという人は全体の8%しかおらず、多くの人が最初の一ヶ月でギブアップし、中には一週間で諦めてしまう人も多いようです。

ただ毎年毎年、同じことを繰り返しているだけで、新年の目標を立てるのも、お正月の楽しみだと思えれば良いのですが、ハーバード大学のAmy Cuddy教授によれば、自分が立てた目標が失敗に終わることは、自分自身をも傷つけ、さらにモチベーションを失わせることが分かっています。


↑毎年毎年、徐々に自信を無くしていく。(Pic by Flickr)

実際、92%の人が新しい年の最初に立てた目標を達成できないのには、しっかりとした科学的根拠があります。

目標を達成しようとする「意思の力」は筋肉と同じで、鍛えるためにはに日々トレーニングをしなければならず、多くの人たちが新年になったとたん、自己啓発セミナーの後のようなテンションで目標を立て始めますが、どんなに楽観視しても、筋肉がなければベンチプレスは持ち上げられません。

スタンフォード大学のBaba教授は、新年の初めに禁煙やジムに通おうと決意することは、136キロのバーベルをトレーニングなしで持ち上げようとしているのと同じことだと述べており、ほとんどの人が禁煙する難しさ、そして毎朝早起きしてジムに行く苦しさを理解していません。


↑「意思の力」は筋肉と同じ。鍛えなければ強化できない。(Pic by Flickr)

さらに新年に目標を数多く作り過ぎるのも失敗する原因であり、スタンフォード大学の実験で、実験者を二つのグループに分け、一つのグループには2つの数字、そしてもう一つのグループには7つの数字を覚えてもらい、少し散歩した後で、「チョコレートかフルーツのどちらが食べたいですか?」と質問したところ、7つの数字を覚えてもらった生徒の方が、チョコレートを選ぶ確率が2倍に多かったそうです。

Baba教授は次のように述べています。

「追加の数字を記憶することは、脳の大事なスペースをより多く必要とするため、甘い欲求を拒否するのがより難しくなります。」


↑新年の目標の数が多ければ多いほど、誘惑に負けやすくなる。(Pic by Flickr)

ある調査によれば、新年の目標をできるだけ小さくすることで、達成できる確率が50%も上がることが分かっており、「今年こそタバコを辞めるのではなく、朝食の後のタバコを辞める」、「今年こそ痩せるのではなく、仕事の後に5分ほどランニングをする」、「ストレスを減らすのではなく、朝目覚めた時に2-3分瞑想する」など、毎日の小さなクセを習慣にすることで、目標を達成できる確率が大きく変わるようです。

さらにリサーチによれば、自分の妻や夫になど配偶者に宣言することは効果的で、オバマ大統領はかれこれ6年間タバコを吸っていない理由について、「奥さんが怖いからだ」と述べています。


↑「妻に怒られるのが一番怖いんだ。」(Pic by Flickr)

「スタンフォードの自分を変える授業」で日本でも有名になった、ケリー・マクゴニガル教授も新年の目標を達成するためには、睡眠や健康な食事に気を使い、「意思の力」が弱まらないようにするのが大事だと述べた上で、「意思の力」は周りに広まりやすく、信頼できるパートナーを見つけることが、成功への一番の近道だと断言しています。


↑マクゴニガル教授「大抵の場合、新年の目標は、あなた一人では達成できない。」(Pic by Flickr)

さらにHeath Roomというサイトによれば、自分の個人的価値観に合わない目標は、絶対に持続できないと述べており、周りの友達がブログで収益を上げ始めたから、僕も今年からブログを始めよう、何となく英語が大切そうだから今年こそ、と意気込んだところで、自分の価値観に合わないものは、恐らく2週間も持ちません。

FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグさんは毎年、会社以外のところで、個人の新年の目標を立てることで有名ですが、彼は2010年の個人目標として中国語を勉強することを公言していました。

彼が中国文化に興味があったのはもちろんのことかもしれませんが、Facebookは未だに中国では禁止されており、中国のような大きな市場で、Facebookを展開したいという想いがあったからこそ、未だに勉強を続けられるのかもしれません。


↑本当に自分の価値観に合うものでないと、結局最初の一週間で挫折する。(Pic by Flickr)

経営者の中には、今年のやることリストよりも、「やらないことリスト」を重視する人も多く、Twiteerの元CEO、ジャック・ドーシー氏もその一人です。

ジャックはやることリストよりも、「やらないことリスト」を作る方が数倍難しいと述べており、これをiPhoneのメモに入れて常に持ち歩くことで、自分が成功できたら、それをチームへ、そして企業へ導入することによって、強い企業文化を作っていくことが大切だと述べています。


↑やることリストよりも、「やらないことリスト」を作る方が数倍難しい。(Pic by Flickr)

過去9年のグーグル検索のデータを見てみると、年の初め、月の初め、そして週の初めには、「ダイエット」というキーワード検索が一気に増えるそうで、平均の80〜90%も検索数が上がるそうです。

これは「1月効果=January Effect」とも呼ばれ、1月に漂う妙な楽観思考が株価をつり上げているらしいのですが、これも2月になれば従来の株価に戻ってしまいます。


↑1月の妙な楽観視が株価をつり上げる。(Pic by Flickr)

Facebookなどで、「今年は◯◯の年」と意気込むのは別に悪くないと思いますが、失敗は気づかないところで自分のモチベーションを少しずつ下げていきます。

職場の新年会で、「今年の抱負は?」と聞かれたら適当に答えておけば良いですが、自分の個々の目標だけは、もっともっと明確に現実的なものにしていきましょう。

だって、今成功している人たちは、「業界にイノベーションを起こす」と言って、一ヶ月で忘れてしまった人達ではなく、「有言実行」を確実にこなしてきた人たちなのですから。

(Eye Catch Pic by Flickr)

/DO_NOT_MAKE_SAME_MISTAKE