September 13, 2014
通勤時間が22分増えた場合の幸福度の低下を相殺するためには、収入を30%増やす必要がある。

「年収1000万以上」の求人、「年収1000万以上の人が常に意識していること」と言った本のキャッチコピー、不況になればなるほどついつい「年収1000万」というところだけに反応してしまいますが、最新のアメリカ国民を対象とした調査では年収550万円稼いでも、250万円しか稼いでいない人たちより満足度は9%しか増加せず、さらにプリンストン大学の調査では年収750万円に達すると、それ以上いくら稼ごうが、日常の幸福度の差に大きな変化は見られなかったそうです。


↑お金持ちになりたいのか。それとも幸せになりたいのか。

グーグルはかつて、業績トップの従業員たちに7桁のボーナスを支給していましたが、それをやめることにしたそうです。

グーグルの社内で行われた研究結果によれば、巨額の現金または株式による報酬は、争いの種になる場合が多く、「お金は人生の経験ほど重要ではない」という結論に至りました。


↑グーグルではお金よりも、もっと大切なものを社員に与えることにした。(opacity)

グーグルは方針を変え、成果を出した従業員には報酬の代わりにグーグルの経営幹部たちと共に行く旅行をプレゼントすることにしました。採用担当のラズロ・ボック氏は次のように答えています。

「その旅行での経験、全社にわたる仲間と一緒に過ごす経験は、それに相当する金額を、いやその10倍の金額を与えた場合よりも、もっと強烈で貴重でした。そして、はるかに大きい影響力をより広く組織全体に与えたのです。」


↑物質的なものではなく、経験を提供。

またお金は「時間」ともよく比較されますが、チューリッヒ大学のブルーノ・フレイ氏の調査によれば、通勤時間がゼロから22分になった場合の幸福度の低下を相殺するためには、通常、収入が3分の1増える必要があり、昇給を迫ってボスを悩ますよりも、職場の近くに引っ越せば、同じくらい幸福度を増やすことができると断言しています。


↑職場の近くに引っ越せば給料が3割上がるぐらいの気持ちで。

平均的な人達は、1年のうちの2ヶ月をテレビを見る時間に費やしており、ヨーロッパ32カ国の1万人以上を対象に行われた調査では、一日当たり30分以上テレビを見る人は、30分未満しかテレビを見ない人よりも、人生に対する満足度が低いことが明らかになっています。

年収750万円を越えると、「お金を稼ぐこと」からは幸福度は上げることができませんが、「お金をどう使うか」によって幸福度は変化していきます。

マイケル・ノートン氏の調査によれば、スターバックスのコーヒーを自分に買った場合と、他人に買ってあげた場合とで、その日の幸福度を比べたところ、他人に買ってあげた場合の方が幸福度が高ったそうです。


↑次のステージへ:「どれだけお金を稼ぐかではなく、どのようにお金を使うか」

世界一の大富豪、ウォーレン・バフェットが財産の99%を寄付することについて、「この決定以上の幸せを感じたことはない」と述べているように、バフェットの投資の仕方よりも、バフェットのお金の使い方から学ぶことの方が多いのかもしれません。


↑個人資産から数兆円を寄付:「この決定以上の幸せを感じたことはない」(Fortune Live Media)

お金が無くても、楽しく生きていければそれで良いという根拠の無い楽観視はあまり説得力がありませんが、人生は「お金=幸せ」というほど単純なものでもなさそうです。

もし人生の目的がお金を手に入れることではなく、幸せになることだとしたら上司を説得して給料を上げてもらうよりも、通勤時間を減らしたり、テレビを見る時間を極力少なくすることの方が幸せになる近道なのかもしれません。

ちょっと視点を変えてみることで、大きな変化に気づくのではないでしょうか。

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