November 8, 2018
現在、売られているニンジンの栄養は、50年前の半分以下「ファーストフードが普及して、時間に余裕が持てるようになりましたか?」

あちらこちらで、野菜をたくさん食べる重要性が語られますが、現在、日本で一般的に出回っている野菜の栄養価は昔と比べてかなり減ってきているようです。

例えば、2010年までの過去50年にニンジンのビタミンAは81%、ほうれん草のビタミンCは77%も減っており、キャベツのビタミンC、アスパラガスのビタミンB2、玉ねぎのカルシウムは半分になってしまっています。

つまり、一つの野菜から摂取できる栄養量が大幅に減ったわけですから、質を量でカバーするという意味では、「野菜をたくさん食べろ!」という世の中の声は確かにその通りなのでしょう。



栄養価が極端に下がった原因は、収穫量を上げるために化学肥料を大量に使用したことで、日本の土壌が弱ってしまったことが原因です。

昔から世界中で良い土壌を維持するためには、作物をつくらず一年土地を休ませたり、人間や動物の糞尿を積極的に肥料として活用したりと様々な努力が必要でした。

草は一年、小枝や篠竹(しのだけ)は3年、真竹だと土に戻るまでに10年以上かかるのだと言います。

植物にしても、動物にしても、生まれてくるものに決して無駄なものは無いだろうし、ガウディが不用品から芸術を作り出したように、面倒くさがらず、しっかり活用して土に返すことで、栄養価の高い作物をつくる強い土壌ができていくのでしょう。



農業は自然相手の厳しい仕事ですが、スーパーなどを通して作物を買い、作り手の顔が全く見えないため、どんどん安い方へと平気で値段を叩いてしまうのかもしれません。

近代化が進むと古き良き時代が美化されるのは、当たり前と言えば、当たり前だし、かと言って江戸時代の生活に戻れと言われも、それは、当然無理なことでしょう。

でも、司馬遼太郎さんが残した言葉のように、今の大多数の日本人には、合意すべき何かがあって、無理な拡張や破壊をやめて、自然を美しいものとする日本に戻れば、一時的な経済活性のために「三本の矢」なんて飛ばさなくても、少しずついい方向に向かっていくのではないだろうか。





ファーストフードが普及して、食事の時間が短縮できるようになり、少しは余裕が持てる生活ができるようになっただろうか?

いや、ファーストフードが普及すればするほど、どんどん忙しくなってきているような気がする。

働き方改革をする前にまず食べ物を、食べ物を変えるなら、まず土づくりを意識していかなければならないのかもしれません。

/SOIL