October 30, 2016
ジョンレノン「アメリカ政府の真実を伝えたら、僕は恐らく消されてしまう。」

(illustration by L&C)

ソビエトとの冷戦に勝ち、1990年代、少なくてもあと100年は、どの国も太刀打ちできないだろうと言われていた超大国アメリカがここ数十年で急激に力を失い、一歩ずつ確実に衰退の道を辿っています。

アメリカは世界中に軍隊を配置し、政治、経済、そしてエンターテイメントなども含めて、人類の歴史上最も影響力を持った国であり、かつて歴史上最も大きな力を保持していたローマ帝国と比較しても、アメリカの存在は比べものにならないほど巨大なものになっているそうです。


↑人類の歴史上、最も影響力を持った国、アメリカ。

しかし、アメリカはアフガン戦争、イラク戦争、サブプライム、そしてリーマンショックなどを通じて、たった10年前後で世界中の信用を失ってしまいました。

現在のテロとの闘いに勝っているのは、アメリカと同盟国だと答えるアメリカ国民はわずか18パーセント、 1964年にアメリカ政府を信用していると答えた国民は77パーセントもいたのに対して、現在はたった19パーセントしかおらず、半分近くの国民がアメリカの最盛期はすでに過ぎ去ったと考えており、世界各国の人々だけではなく、もう自国の国民までもが「アメリカン・ドリーム」は過去のものになってしまったと悲観的な意識を持ちながら、不安定な日々の生活を送っているのが、今のアメリカの現状なのです。(1) (2)


↑もうアメリカ人ですら、「アメリカン・ドリーム」は存在しないと思っている。

また、日本ではシリコンバレーの最先端の技術や、ニューヨークの新しいライフスタイルしか伝えられませんが、現在のアメリカは想像を絶するスピードで貧困大国化しており、アメリカ国民の3分の1が貧困層か貧困層予備軍、かつて世界の消費大国と言われたアメリカ人がクレジットカードを使うのは、もう欲しいものを買うためではなく、日々の生活を成り立たせるためのライフラインになってしまっているのが現状です。

さらに、アメリカは6,600兆円ほどの借金を抱え、これ以外にも民間銀行がクレジット・デリバティブで作ってしまった借金が同じくらい(6,600兆円)あると言わており、合計すると1京2,000兆円(!)もの借金を抱えていることになります。(3)

ところが、アメリカ政府は国民が貧困から抜け出せずにいるにも関わらず、軍事費にお金を使い、ローマ帝国が崩壊した理由を関連づけて考えれば、国力の衰退が表れるサインというのは、国民を助けるという他の優先事項を無視して軍事費を増やし続けることで、もし「歴史は必ずくりかえす」ものなのであれば、アメリカは国家破壊のセオリーに着実に従っていると言えるでしょう。


↑国民が生活に困っているのに軍事を強化するのは北朝鮮と同じである、ただでさえ、アメリカの借金は金利だけで毎年90兆円ずつ増えている。

当然のことながら、借金まみれのアメリカの道路、空港、そして水道などのインフラはボロボロで、国内の橋の3分の1がすでに耐久年数を過ぎており、道路のシステムが貧しいためどこへ行っても渋滞、インターネットの速さは他の先進国よりも遅く、そしてアメリカの空港など香港の空港と比べたら、「第3世界の空港」と勘違いされるくらいさびれてしまっているのが現状です。(4)

ジョージ・ソロスのパートナーとして知られ、「1807年にロンドンに移住する者は賢者。1907年にニューヨークに移住する者は賢者。そして、2007年にアジアに移住する者は賢者」と言って、2007年にニューヨークからシンガポールに居住地を移した投資家のジム・ロジャースは一年に一回、両親に会うためにアメリカを訪れる時を次のように述べています。


↑アメリカのインフラは第3世界のものと変わらない。

「アジアに暮らすようになって数年の私に言えることは、ニューヨークの空港が第3世界の空港だということである。第3世界の空港を出たら、第3世界のタクシーに乗って第3世界のハイウェイを行く。そして、たとえ宿泊先が5つ星ホテルだったとしても、あなたが泊まるのは第3世界の5つ星ホテルなのだ。」

「ニューヨークは、いまや世界最大の、そして世界史上最大の債務国アメリカの経済・文化の中心地だ。」(5) 


↑すでに、ニューヨークは人類史上最大の借金大国の文化と経済の中心地。

ほんの少し前まで、アメリカは本当の意味で自由の象徴でした。

年齢、国籍、そして性別などに関わらず、やる気のある人にはどんどんチャンスを与え、どんな貧しい国からの移民でも、まずはタクシーの運転手から始めて、お金を貯めながら必死に働けば、5〜10年後には自分の会社を持てるようになるというアメリカ建国以来の伝統的な文化は、世界中の人々を魅了し続け、実際、この10年間、シリコンバレーの新規企業の25パーセントは移民によって立ち上げられています。(6)

そして、アメリカ人自身も昔からチャンスがあれば、どんな場所にでもリスクをとって移動し、今でもアメリカ人の半分は5年に一度は引越しをしますが、「人生はこうあるべき」とか、典型的なキャリア・コースなどがなく、仕事に退屈したら別の仕事を探したらいい、誰かが楽しそうな仕事をしていたら、自分も同じような仕事に就く方法を教えてもらったらいいなど、少し前まで、アメリカ人の考えはどこまで行っても楽観的そのものでした。(7) (8)


↑どんな貧しい国からの移民でも、5〜10年で自分の会社を持てるという、チャンスに満ち溢ていたアメリカ。

外交面でも「世界の警察」と呼ばれ、第一次世界大戦、第二次世界大戦、そして冷戦という世界規模の戦争に3戦3勝して、世界中に民主主義と自由市場経済を普及させました。

そして、100年以上にわたり、一貫して世界でもっと民主的で、経済的に繁栄し、影響力を持っていたことを考慮しても、20世紀は「アメリカの世紀」そのもので、現在の世界の基本になっているライフスタイルは、アメリカが作り出したと言っても過言ではないでしょう。(9)

ところが、21世紀に入ると様々な国にイチャモンをつけて戦争を起こし、戦争を起こすことで利益を得る「軍産複合体」がでっち上げた9.11、アフガン戦争、イラク戦争、そしてISISとの戦いを経て、「世界の警察」から「世界の暴力団」へと姿を変えていきました。(10)

(※軍産複合体とは実態を持たない企業の集まり。この中には自動車産業、航空産業、鉄鋼業、飲料、お菓子、タイヤ、葬儀産業など様々な企業が含まれ、これらの企業がペンタゴン(国防総省)と
契約している。)


↑21世紀に入るとアメリカは「世界の警察」から「世界の暴力団」へ。

自由経済の象徴であったアメリカ市場は住居、医療、食品、教育までもがウォールストリートのマネーゲームの対象とされ、サブプライム、リーマンショックと、どれだけ大きな金融危機が起ころうとも、彼らが反省している様子は全くありませんし、現在では医療のオバマケアや、食品の遺伝子組換えから始まる国民の健康にまで金融界の悪の手は“確実”に忍び寄っています。

もうイラクには大量破壊兵器が無いことは誰もが知る事実ですし、ビジネスに関しても、法律を破らず、株主にとっての価値と利益の追求だけに責任を追えば、国民が家を失おうが、健康がどうなろうが関係ないという一部の人の考え方が1パーセントの人々を裕福にし、99パーセントの国民の生活を苦しめているアメリカの現状は、悲惨という以外に表現の仕様がありません。


↑誰にでもチャンスをくれる夢の国は、現在、国民の生活をマネーゲームにしながら世界規模で暴走中。

こういった背景をしっかりと理解すると、今なぜドナルド・トランプにアメリカ人たちが熱狂しているかがよく分かります。

トランプの政策は反ワシントン(政府)、反ウォールストリート、そして、反エスタブリッシュメント(エリート・支配層)であり、トランプを支持しているのは主に学歴が高卒以下の白人で、急速に変化するアメリカ社会で置き去りにされ、中国をはじめとする他の国がどんどん豊かになっていくのを横目で見ながら、アメリカの弱さを痛烈に感じ取っている人達が多くいます。(11)


↑トランプ旋風はアメリカ世論の動きを見極める重要なピース。

トランプは様々な政治家らしくない発言を繰り返し、人格が大統領に向いていないとメディアの批判の的になっていますが、4度の破産を経験しながらも大成功した実業家であり、「オレは経営者として、何度も困難を乗り越えてきた。破産も経験した。安易な道ではないだろうが、ビジネスマンとして、何とかオレがアメリカ人を食わしてやる」というメッセージが心を掴み、政治的に「正しく」ない発言を繰り返しながらも、共和党の予備選挙で16人の候補者を相手に圧勝しました。

また、トランプは生きるか死ぬかの命がけの交渉をしたことのない政治家に国のトップは任せられないとして、自身の自伝の中でも次のように述べています。(12)

「ちりも積もれば山となるから、1セントでも粗末にしてはいけないことを父から学んだ。今でも下請業者が高すぎるとたとえ1万ドルでも電話でクレームをつける。わずかな金のことでなぜ騒ぎたてるのだ、という人もいる。だが私は、25セントの電話代をかけて1万ドルの金を倹約することができなくなったら、その時は引退する、と答える。」


↑1990年の不況でトランプは約1兆円の負債を抱え「借金王」と呼ばれたが、トランプはこの苦境を乗り切った。

一方、ヒラリー・クリントンは何となく支持を集めているように報じられていますが、実際、ヒラリーにはトランプのような哲学や思想がなく、自分の立場を有利にするために、簡単に意見を変え、長く政治の世界にいながらファーストレディ、上院議員、そして国務長官時代に、特に印象に残るような功績を残せていません。(13)

そして、今回の選挙を理解する上で最も重要なことは、ヒラリーの後ろには戦争が起こることで利益が出る軍産複合体がついており、彼らからすれば好戦的な姿勢を取っているヒラリーに何としても勝って戦争をしてほしいため、マスコミなどを徹底的に利用して、トランプを問題児扱いする報道だけを伝えることで、「トランプの悪のイメージ」を国民に植えつけていると言います。


↑コロコロと意見を変え、ただ大統領という権力に憧れているという批判も強い。

トランプは見るからにトラブルメーカーなため、過去に何をやっていたとしても大した驚きはありません。

しかし、実はヒラリーの方が過去にもっと恐ろしいことをやってきたのではないかという疑惑が現在世界中で広まっていて、日本では評論家の副島隆彦さんが「ヒラリーを逮捕、投獄せよ」という挑発的なタイトルの書籍でこのことに詳しく触れています。

副島さんによれば、ヒラリーはオバマ政権の国務長官(日本で言う外務大臣)だった2011年、“ヒラリーの単独の命令”でリビアの独裁者、カダフィを虐殺し、リビアの国家資産であった2.4兆円を“ヒラリーの命令で”取り上げました。(14)

そして、ヒラリーはそのお金で総数7万人と言われるイスラム過激派組織を雇って、2年間の訓練をさせながら給料を払い、この殺し専門の狂暴な傭兵をシリア、北イラクにわざと野放しにすることで「対イスラム国」という架空の戦争を作り出し、さらに、リビア軍から奪い取った大量の破壊兵器をアメリカの言うことを聞くイスラム勢力に引き渡したのだと言われています。


↑対イスラム国「戦争をすれば儲かる一部の人のために作り出された架空の戦争であるという疑惑が」

なぜ、国のトップを務める人がこんなことをするのか一般の人には到底理解できませんし、ただ一部の人が一方的に主張していることであれば、ただの陰謀論に過ぎません。

ところが、残念なことにヒラリーが「カダフィを殺してしまいなさい」、「集めた資金を処理しなさい」と部下に指示していたメールの内容が、当時CIAの職員だったスノーデンによって持ち出され、大統領選が近づくにつれて、どんどんウィキリークスに内容が公開され始めています。

また、アメリカ本国でベストセラーになっている
「クリントン・キャッシュ」という本の中には、ヒラリーと夫のビル・クリントンがクリントン財団に「寄付する」という名目で、アメリカの国益を売り渡しながら、賄賂や汚職が当たり前の国の独裁者や企業から莫大な資金を受け取っていた事実が詳しく書かれており、ヒラリーはこの時、自分の政治家としての地位を存分に利用し、彼女が国務長官になると、クリントン財団が海外から受け取る資金の量が自然と加速していきました。


↑もし、これらの事実が本当なら世界を揺るがす大犯罪である。

なぜ、メディアはこのような重大な事実を大々的に報道せず、トランプのスキャンダルばかり報道するのでしょうか。

この辺りは、あまりにも複雑過ぎて真相ははっきりしませんが、マスコミ(米欧日)はアメリカ政界で強い影響力を持つ軍産複合体の傘下にあり、軍産複合体は自分たちの言いなりで、好戦的なクリントンを絶対に当選させたいと思っているため、クリントンに有利、トランプに不利な報道ばかりしているのだと、ジャーナリストの田中宇氏は断言します。

真相は不明ですが、ベトナム戦争を終わらせようとしたジョン・F・ケネディや反戦活動をしていたジョン・レノンも、戦争ビジネスという軍産複合体に殺されてしまったという説が根強く残っているのは、多くの人が知る事実です。


↑戦争をするために軍産複合体は何としてもヒラリーを当選させたい。

ジョン・レノンは生前のインタビューで次のようの述べています。

「僕たちの社会は本当に頭の狂った人たちによって動かされている。僕はこのことに12歳〜16歳の頃に気づき、自分の人生を通して、様々な方法でこれらのことを表現してきた。僕が表現しているものはいつも同じことだった。でも、今は、このことを言葉にして示そう。」

「“僕たちは、偏執狂者たちによって、偏執狂者の目的を達成するために支配されている。” イギリス政府、アメリカ政府、ロシア政府、そして中国政府、彼らは全員本当に頭がイカれてる。」

「でも、それを表現すると、僕は、キチガイ扱いされて、きっと消されてしまうだろう。これこそ、イカかれた現実なんだ。」

歴史的に見ると世界不況から抜け出す方法は2つしかなく、一つはフランクリン・ルーズベルトが行ったニューディールのような雇用を生み出す政策、そしてもう一つが戦争であり、もしヒラリーが大統領になったら、借金まみれの財政から国家破産を防ぎ、今のアメリカの世界支配を維持するために戦争という公共事業を始め、世界を第三次世界大戦に引きずりこんでいくことでしょう。(15) (16)


↑ジョン・レノンもケネディも戦争ビジネスに殺された。 (CC)

ここに軍産複合体や金融関係者など1パーセントのエリートと距離を置き、アウトサイダー的存在であるトランプが、「ヒラリー、戦争などというバカなことはやめろ!破産を何度も経験しているオレが命がけの交渉で、大きな戦争を回避し、国家を何とか立て直してやる」と言って出てきたため、軍産複合体や金融の傘下にあるマスコミは何としても、トランプを落とさなければ自分たちが食べていけなくなってしまうという状況になってしまいました。

アメリカの主要な新聞社でトランプを支持していることを表明しているところはひとつもなく、あれだけトランプは共和党の予備選挙で敗退すると言われながらも圧勝したことを考慮すると、「ヒラリー優勢、ヒラリー優勢」と毎日伝えているマスコミも、真実を報道しているかは疑問ですし、このあまりにも偏った報道の仕方は、マスコミがヒラリーを支持しているというより、マスコミが何とかトランプを当選させないように上手く国民を洗脳しているように見えてなりません。


↑マスコミは自分たちが食べていくために、「ヒラリー優勢、ヒラリー優勢」と報道し続けることで、トランプを落とす。

トランプは優れた交渉人で、現在アメリカが抱える問題を解決できる力があるのかもしれませんが、彼の人格や思想に問題があることを様々な人が指摘しているのはご存知の通りです。

ジョニー・デップはトランプが当選することで、「大統領」が機能しなくなると指摘し、ツイッターでトランプと激しいバトルを繰り広げたアマゾンCEOのジェフ・ベゾスはトランプに対して「ロケットで宇宙に飛ばしてやろうか?」という内容のツイートを
トランプに送っています。


↑もちろん、トランプにも問題は大有り。

2011年に行われた調査では約75パーセントの人がトランプを嫌い、2014年に彼の地元ニューヨーク市民を対象に行われた調査でも61パーセントの人がトランプに対して、批判的な印象を持ちながらも、なぜか多くの人は彼の発言から目を離すことができません。

ロイターの調べでは共和党の予備選挙で、各候補が1票を獲得するのに使った費用はトランプがダントツで安く、ジェブ・ブッシュが14万円、ルビオが3万円、テッド・クルーズが2万6,000円だったのに対し、トランプはわずか6,800円でしたが、トランプは他人を批判することで気分を害する人がいる一方で、反対に自分の方に近寄ってくる人が大勢いることもよく理解しており、そして、何だかんだ言って多くのアメリカ人が、お金持ちにあこがれていることを彼はよく知っているため、それを考えて戦略的に動いているのだと思われます。(17)


↑大っ嫌いなはずなのになぜか気になって、引き込まれてしまう。

そういった意味で、トランプの存在自体が今のアメリカ人そのものを表しているのでしょうし、彼のような存在の台頭を許すほど、アメリカという国自体がどんどんおかしくなってしまっているということなのでしょう。

かつて、誰もが憧れた世界一自由で寛大な国アメリカの姿は影を潜め、今回の選挙でどちらが勝っても、アメリカという国が今後どんどん衰退していくことは間違いありません。


↑どちらが大統領になってもアメリカの影響力は低下していく。

アメリカで最も権威のあるピューリッツァー賞の受賞者であり、出入り禁止になるほどにトランプを徹底的リサーチしたジャーナリストのマイケル・ダントニオ氏は著書「熱狂の王 ドナルド・トランプ」の最後を次のように締めくくっています。(18)

「ドナルド・トランプ は特異な男ではない。彼はむしろ、 現代を生きるわれわれの誇張された姿に過ぎない。だが、自身を特別な存在であると考えたくてたまらない彼にしたら、この結論を不快に思う可能性が高い。 それは、われわれにとっても同じである。」


↑トランプの存在自体が今のアメリカ人の姿そのものである。

アメリカの影響力が衰退するにつれて、世界情勢はどんどん変わっていくことでしょう。

アメリカが弱くなっていくということは、日本人にとって戦後70年間当たり前だった価値観が大きく変化することのような気がしますが、そろそろ僕たち日本人は大好きなアメリカから脱却し、新しい世界情勢の中で自分たちの立ち位置を明確にしていかなければなりません。

かつてラッパーのZEEBRAが同じようなことを言っていました。(19)

「アメリカがオレらの憲法を作ったこと。 日本人としての権利はなんだろうって。 アメリカにいいようにされたわけじゃん? でもオレはアメリカのカルチャーが大好きだし、ヒップホップ大好きなんだ。肯定と否定。 大好きと嫌い。 微妙な思いが自分の中にある。 どう消化していくか。どう判断していくか。」


↑大好きなアメリカ、そして大嫌いなアメリカ、どう消化しどう判断していくか。

ニューヨーク・タイムズの記事によれば、今回の選挙では共和党(トランプ)、民主党(ヒラリー)の両方の候補者に好意を寄せられない国民が大部分を占めるようで、これはアメリカの歴史の中でも非常に珍しいことなのだと言います。

イギリスの首相、ウィンストン・チャーチルはかつて、アメリカという国を次のように述べました。(20)

「他の可能性をすべて考えつくしたあとに、いつも正しいことをする。そう、頼りにできる国だ。」

アメリカという国にまだこのような寛大な力があるかは分かりません。

ほんの少し前までは、世界中で最も賢く、クリエイティブな3億人の人達が11月8日にどんな決断をするかは、非常に注目されますが、なぜか僕がほっとすることは、僕自身がどちらの候補者を大統領にするべきか選ばなくていいことなのではないかと、一人で勝手に思っています。


↑世界中で最も賢く、クリエイティブな約3億人がどのような決断をするか。(illustration by L&C)

どんなに長くアメリカで暮らしても、所詮、よそ者はよそ者、どこでアメリカ人の感情が変化していったのかなど分かりません。大好きだったアメリカに対して、唯一、僕ができることは、大きな時代の局面で彼らがどんな決断をするのかを遠くからそっと見守るだけです。

また、世界一寛大な国に戻ってくれることも、ちょっとだけ期待しながら。

1.あえば 直道「トランプ革命」 双葉社、2016年 Kindle 2.トーマス・フリードマン・マイケル・マンデルバウム「かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか」日本経済新聞出版社,2012年 P49 3.副島 隆彦「トランプ大統領とアメリカの真実」日本文芸社、2016年 P278 4.ドナルド ・ J ・ トランプ「THE TRUMP – 傷ついたアメリカ、最強の切り札 」ワニブックス、2016年 P151〜153 5.ジム・ロジャーズ「冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート 市場の英知で時代を読み解く」SBクリエイティブ、2013年 P136〜137 6.トーマス・フリードマン・マイケル・マンデルバウム「かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか」日本経済新聞出版社,2012年 P425 7.エンリコ・モレッティ「年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学」プレジデント社、2014年 Kindle 8.小林 由美「超・格差社会アメリカの真実」文藝春秋,2009年 P241 9.トーマス・フリードマン・マイケル・マンデルバウム「かつての超大国アメリカ―どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか」日本経済新聞出版社,2012年 P51 10.大前 研一「さらばアメリカ 」小学館、2009年 P99 11.あえば 直道「トランプ革命」 双葉社、2016年 Kindle 12.ドナルド・J. トランプ、トニー シュウォーツ「トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ」筑摩書房、2008年 P80〜P81 13.日高 義樹「トランプが日米関係を壊す」徳間書店、2016年 P40 14.副島 隆彦「ヒラリーを逮捕、投獄せよ」光文社、2016年 P46 15.大前 研一「さらばアメリカ 」小学館、2009年 P231〜232 16.副島 隆彦「トランプ大統領とアメリカの真実」日本文芸社、2016年 P277 17.マイケル・ダントニオ「熱狂の王 ドナルド・トランプ」クロスメディア・パブリッシング、2016年 Kindle 18.マイケル・ダントニオ「熱狂の王 ドナルド・トランプ」クロスメディア・パブリッシング、2016年 Kindle 19.ZEEBRA「自伝 HIP HOP LOVE」ぴあ、2008年 Kindle 20.アリアナ・ハフィントン「誰が中流を殺すのか アメリカが第三世界に堕ちる日」CCCメディアハウス、2011年 P11

/US_ELECTION_2016