August 21, 2018
アマゾンの株価は上場以来1252倍「アマゾンの将来は創業者にも分からない。」

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アマゾンがグーグルの親会社であるアルファベット社を抜いて、アメリカで2番目に価値の高い企業になったそうです。(1位はアップル)

アマゾンは1997年に上場して以来、株主に一度も配当を払っていないにも関わらず、上場当初と比べて株価は1252倍、1995年に創業したばかりのジェフ・ベゾスに現在のレートで2800万円を投資したベゾスの両親のリターンは1200万%で、資産は3兆円近くになっていた可能性があるのだと言います。(現在、ベゾスの両親がどれくらいの株を保有しているかは明らかになっていない。)

最近では、世界トップの投資家、ウォーレン・バフェットでさえ、アマゾンに投資しなかったことは謝りだったことを認めており、世界一の投資家に分からないアマゾンの成長は創業者であるベゾス氏にもきっと分からないのでしょう。

ベゾス自身も2800万円をアマゾンに投資しようとする両親に対して70%の確率でお金が返ってことを正直に伝え、さらに念を押して次のように警告したと言います。

「どういうリスクがあるのか、ちゃんと知っておいてほしいんだ。事業に失敗しても感謝祭の祝日には帰省したいと思うから」



通常のビジネス戦略で考えれば、他社にはない付加価値やブランド力をつけることで、価格競争から抜け出し利益を出すというのが普通かもしれません。

しかし、アマゾンは値段を安くすればするほど、競争力がつきライバルがいなくなると考えているようで、幹部の社員であってもビジネスクラスの使用は禁止、1999年のインタビューでは「もっといいオフィス家具が買えるでしょ?」という問いに対して、「自分たちのオフィスにはなるだけお金を使わず、その分顧客に安さを提供するんです。」と答えています。

アマゾンは2017年の時点で、アメリカのeコマースの44%を独占し、2018年には50%、2019年には70%に届くのではないかと言われており、アマゾンにロイヤリティーを感じたユーザーがプライム会員として年間費を払い、その年間費を少しずつ上げることにも成功しています。

「amazon 世界最先端の戦略がわかる」という本を出版された元日本マイクロソフトの社長、成毛眞さんはアマゾン一社の動きをチェックしていれば最新のビジネス感覚が身につくと断言し、ベゾスはITに続く次のイノベーションとして、ITで生み出した利益を次の大きな市場である宇宙ビジネスにしっかり投資することで、低価格で人類を宇宙に送り込もうとしているようです。



大企業にイノベーションのジレンマが起こってしまうのは、変化を拒もうとするからではなく、短期的な利益しか生み出さないところにしか積極的に投資をしようとしないからなのだと言います。

ベゾスが言うように自分たちの経費は最小限に抑え、物理的な本屋の仕事を全部奪うつもりで動けば、きっと「イノベーションのジレンマ」などという言葉には縁がないことでしょう。

参考書籍

成毛眞「amazon 世界最先端の戦略がわかる」ダイヤモンド社、2018年、田中 道昭「アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる『ベゾスの大戦略』」PHP研究所、2017年、ブラッド・ストーン「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」日経BP社、2014年

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