January 15, 2015
ツイッター創業者「社長なんて役職はいらない。CEOではなく最高“編集”責任者になれ」

image:L&C

Webで何か調べものをしている時、途中で何か別の面白いものを見つけて、離脱したまま何時間も時間が過ぎてしまったり、FacebookやTwitterのタイムラインから始まり、ひとつ記事をクリックしてしまうと自分自身が「バイラル」して、気づけては日付が変わっているなんてことはよくあります。

それ以外にも、いまいち気が進まない仕事を引き受けてしまったり、メールやLineなどプッシュ通知でどんどん送られてくるものなど、この10年で人々の選択肢は一気に増え、多く人が進むべき方向性を見失っています。


↑この10年に人びとの選択肢は限りなく増えた。(Flickr/cosmo_71)

ピーター・ドラッカーは次のように述べています。

「数百年後の人びとがわれわれの時代を振り返るとき、歴史家の目にとまるのは技術やインターネットよりも、人びとの状態が大きく変わってしまった事実だろう。歴史上初めて、大多数よりも、人びとが選択肢を持つことになったのである。ただし社会はいまだ、そのような事態に対応できていない。」(エッセンシャル思考 P33)

オーストラリアで看護師をしていたブロニー・ウェアさんは死を目前にした患者が最後に後悔していることを記録し続け、その中でもっとも多かった答えは「他人の期待に合わせるのではなく、自分に正直に生きる勇気がほしかった」だったと述べていますが、これだけ情報や選択肢に惑わされて生きている私たちが死の直前に後悔することは、100年前を生きた人とは比べものにならないほど多いのかもしれません。


↑死を目前にして後悔することはみんな一緒。(Flickr/Aline)

このことに気づいたライターのGreg McKeownさんは「エッセンシャル思考」という本の中で、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方を提案していますが、これは新年の抱負でもっと仕事を断ろうと宣言したり、ときどき思い出したようにモノを整理しても意味がないそうで、常に「自分は正しいことに力を注いでいるか?」と絶えず問いつづけることが死の直前に後悔しない生き方だと述べています。

TEDの人気スピーカー、デレク ・シヴァーズに言わせれれば、「絶対にやりたい!」か「やらない」のどちらかしか存在しないそうで、そのためのコツは、とにかく基準を厳しくすることで、「やろうかな」程度の心意気であればすぐに却下を下すことだと述べています。


↑シヴァーズ「絶対にイエスだと言いきれないなら、それはすなわちノーである。」(Flickr/TEDxSakurajima Kagoshim)

ツイッター共同創業者のジャック・ドーシーは「より少なく、しかしより良く」を大切さを理解している経営者で、CEOの仕事を「Chief executive officer(最高経営責任者)ではなく、「Chief “edit” officer(最高”編集”責任者)」と定義した上で次のように述べています。

「なぜ編集かというと、日々やることは山ほどありますよね。でも本当に重要なのは1つか2つ。エンジニアやサポート担当、そしてデザイナーは次から次へとアイデアを持ちかけてきますが、編集者である自分は、そういう情報のなかから1つのこと、あるいは2つか3つの要素の交点を見つけ出し、それだけを実行すると決めるのです。」


↑最高経営責任者ではなく、何か一番大切かを見極める最高”編集”責任者になれ。

ペイパルの創業者である、ピーター・シールに至っては「より少なく、しかしより良く」の突き止め方が半端ではなく、ペイパルの従業員に、「最優先の役割をひとつだけ選べと言い、それ以外の仕事はするなと指示しました。

ペイパル元副社長のキース・ラボワはそのやり方について次のように述べています。

「ピーターは全社員に、それぞれたったひとつの仕事だけをやらせました。最優先の仕事以外のことで相談に行っても拒否されます。」(エッセンシャル思考 P302)


↑最優先の仕事以外は絶対にするな。

一夜で億万長者になったシリコンバレーの起業家も、「より少なく、しかしより良く」の傾向が強く、ハーバード大学でマーク・ザッカーバーグとともに、フェイスブックを立ち上げ、最も若い億万長者となったDustin Moskovitz氏は「モノから幸せを得ることはできない」とした上で、マンション暮らしで、自転車通勤を徹底していますし、マーク・ザッカーバーグ氏も700万円で購入した家に住み、必要最低限のモノ以外は購入しないと宣言しています。


↑最も若い億万長者「贅沢なものに囲まれている自分を想像してみたけど、これが意味のある人生かどうかを結論づけるのは簡単でしたよ。」

資産が6兆円とも言われる、世界一の投資家、ウォーレン・バフェットは若い頃、数百の正しい決断をすることは不可能だと悟り、絶対に確実と思える投資先だけに限定して、大きな賭けに出ることにしました。

実際、彼の6兆円と言われる資産の9割はたった10個の投資によるもので、自分が納得できないものには手を出さないという強い意志が、彼の莫大な資産を築き上げたと言われています。


↑数百の正しい決断をするのは不可能。だから自分が絶対に納得できないものには手を出さない。

「インドの独立の父」として尊敬されている、マハトマ・ガンジーはイギリスで裕福な暮らしをしながら、弁護士になる勉強をしていましたが、世界を旅して周るなかで、弾圧されている南アフリカの人々を目にしました。

その時、彼は世界からそのような弾圧を無くすことが自分の使命だと悟り、自分の信念に従うために今まで裕福な生活をすべて捨てることを決意します。

この自分をゼロにするプロセスは、3年間、新聞などの余計な情報を一切遮断し、35年間もの間、粗食を追求しつづけながら、週に一度は誰とも話さずに過ごすことで、自分を限界まで削ぎ落とし、人々を心を動かしていきました。

亡くなったときの所持品は、10個にも満たなかったと言われており、アイシュタインは彼が亡くなったことを聞いて、「将来の人びとは、このような人物が地上に存在した事実を信じられないだろう」と述べたそうです。


↑自分に繋がり、行動し続けるためには、本当に必要もの以外はすべて削ぎ落とさなければならない。(image:wikipedia)

現代はとにかく、やる事や選択肢が多すぎて、「本当の自分」が他人の用事や意見にかき消けされてしまっています。

最近、「本当の自分」につながるために瞑想が注目されていますが、欧米で瞑想やヨガが普及するきっかけを作った一人にバラマハンサ・ヨガナンダという人物がいますが、彼の著書『あるヨギの自叙伝』の中でも、直感的な内なる自己を大切にせよと説いています。

このヨガナンダの自叙伝こそ、あのスティーヴ・ジョブズが自分の追悼式で、参加者に配ってほしいと言った本で、インドに滞在したことのあるジョブズは、人生の中で直感が果たす役割に深く関心を寄せていました。(サード・メトリック)


↑ジョブズ「直感はとてもパワフル、私に言わせれば知性よりパワフルだ。」

世の中には、ありとあらゆる仕事やチャンス、そして情報など転がっています。

「絶対にやりたい!」か「やらない」で目の前のチャンスや利益を見過ごすのは簡単なことではないかもしれませんが、長期的に考えれば絶対に良い決断になるのではないでしょうか。

人々は決断という言葉をよく使いますが、「決断(decision)」とはラテン語で「切る」「殺す」という意味で、「より少なく、しかしより良く」を追求していくためには、要らないものをどんどん削ぎ落としていく必要があります。

もしかすると、人間の究極はガンジーのような志だけの物体なのかもしれません。

※今回の記事はグレッグ・マキューンさんの「エッセンシャル思考」という本を参考にしました。素晴らしい本なので是非読んでみて下さい。

(Eye Catch Pic by Flickr)

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