一昔前は、どれだけお金持ちであったとしても、倫理やモラル的な観点から、自分がお金持ちであることを周りに公言する人は少なかったことでしょう。
しかし、最近では、「資産◯◯億円」、「一泊◯◯万円のホテルに宿泊」、「収入をYouTubeで公開」のような、自分の資産を周りに見せびらかすような話を毎日のように聞くようになりました。
個人のSNSで、そういった話をするのは勝手なのでしょうが、こういった話をYahooニュースなどの大きなメディアが取り上げ、誰もがこういったニュースを消費するようになってきています。
↑資産の見せびらかしのような話を毎日聞くようになった。
日本の大衆文化として受け入れられている漫画は、その時代の正直な感情の部分を間接的に映し出しているメディアなのだと言える。
例えば、ここまでワンピースが支持されるのは、読者の何か欠落しているものを満たしてあげているからなのだろう。
東京卍リベンジャーズのようなマンガが流行るのは、はみ出し物の不良への憧れが反映されているのかもしれないし、キングダムが人気なのは、信念と実力だけでゼロからトップまで登り詰めようという行動力に共感する人たちが多いからなのかもしれない。
もし、多くの人がどんどん稼いで裕福な暮らしをすることが、カッコいいことだと本当に思っているのならば、「ビットコイン物語」、「YouTuber物語」、「ゴールドマンサックス物語」のような漫画が流行っても良い気がしますが、こういった漫画が流行る傾向は一向にありません。
↑漫画は、その時代の欠如を間接的に表すメディア。(Pic by LC)
そういった意味では、「資産◯◯億円」、「一泊◯◯万円のホテルに宿泊」などと言ったコンテンツを毎日消費し、羨ましいと思いつつも、実際、多くの人の本心は、別にこういった生活をしたいとは思っていないのかもしれない。
少なくても、一泊何十万、何百万のホテルに泊まれる人というのは、若い頃にリスクを追って、自分でビジネスを立ち上げた人たちなのだろう。
しかし、基礎的な倫理観が成熟しきっていない状態で、お金儲けの思想が注入されてしまうと、稼げば何でもありというアウトプットが生まれてくる。(1)
脳は、イメージが膨らむと、そのイメージと現在の自分の状態に居心地の悪さを感じて、新しい思考回路をつくっていくのだと言いますが、毎日、よく分からないセレブコンテンツを消費することは、自分が本当は理想としていない方向へと、思考回路を巡らせるネガティブなサイクルが作り出せれます。
↑本心ではこういった生活を羨ましいとは思っていない。(Pic by LC)
量子力学的に考えれば、「お金が欲しい、お金が欲しい」と考えれば、考えるほど、そのエネルギーに誘われて、自分と同じ「お金が欲しい、稼げばなんでもあり」という考えの人たちがばかりが寄ってくるのだと言う。
本当の意味での富豪は、お金を空気や水、道端にある自然のように、当たり前にあるものとして捉えているため、当然、「お金が欲しい、稼げばなんでもあり」などとは思っていません。
つまり、量子力学的にお金を引き寄せようと思えば、お金が無かったとしても、既に手に入れている幸せに目を向けることで、富豪と波長を合わせて、自身の「豊かさ」で、新しい「豊かさ」を引き寄せていかなければならない。
↑今ある「豊かさ」で、新しい「豊かさ」を引き寄せなければならない。(Pic by LC)
最近では、日本の寺などを巡るスピリチュアル観光が海外の人たちに人気なのだと言います。
そう言った意味では、セレブのドバイ旅行のインスタを見るよりも、日本の神社に行って、いまある豊かさに目を向けた方が、お金持ちに近づけるのかもしれません。
Note
1.レジー『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』集英社、2022年
参考書籍
■内田 樹「街場のマンガ論」小学館、2014年 ■高橋 宏和『「量子力学的」お金と引き寄せの教科書 豊かさのエネルギーを自由自在に操る9つの法則』SBクリエイティブ、2022年