February 26, 2020
好きなことで食べていく事は東大に入るより難しい。だから、21世紀は「努力」ではなく「夢中」の時代である。

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YouTuberや仮想通貨、そして、アフィリエイトなど、世の中には常にお金を稼ぎやすそうなものが存在する。

しかし、現代のような情報がもの凄いスピードで流通する世の中では、稼ぎやすそうなものが出てくると圧倒的な影響力を持つ個人や、大きな資本力を持つ企業がすぐにその市場に参入してしまうため、一般人が同じスタートラインから始めても、勝てる見込みはどんどん低くなっていきます。

科学の世界で、新しい発見をした時に出る言葉は「見つけた!(エウレカ!)」ではなく、「これは面白い。」なのだと言う。

これは、ビジネスの世界でも同じことで、これからの時代、一般人が有名人や企業を抑えて成り上がれる手段が唯一残されているとしたら、まずは「お金」というものを一旦忘れて、「これは面白い。」と感じたものにひたすら没頭することだろう。






↑いまの時代に成功する唯一の方法は、「面白い」と思うものに、ひたすら没頭すること。

むしろ、いまはお金を稼ごうとしない人ほど稼げてしまう時代で、「これで、お金を儲ける気はないんだろうな。」というコンテンツに逆に人が集まるようになってきています。

最近のビジネスの興味深いポイントとして、グーグルにしても、フェイスブックにしても、YouTuberのヒカキンにしても、これをやったら大儲けできるだろうというモチベーションでスタートしていないところが上げられる。

まだ、誰も目をつけていなかった頃に、自分が「これは面白い。」というものに没頭し、恋に落ちた時のように情熱を注ぎ込んだ結果、ビジネスとして成功してしまったというのが実際のところでしょう。






↑「これは面白い。」に没頭すると勝手に成功してしまう。

基本的に、ほとんどのイノベーションは一人の個人、もしくは少数の人達の創造からしか生まれません。

パタゴニアと日本一のブラック企業のDNAは99%同じだと言われるように、仮に1000人の企業だとしても、その会社の方針のほとんどを決めているのは、1%程度の経営陣で、99%の従業員は1%の経営陣が考えたことを着実に実行していく人達。

最近は、どの企業も多様性や個性を尊重するなどと言います。

しかし、99%の従業員は1%の経営陣が考えたことを着実に実行する部品としての役割が大きいため、実際は、自分の主観や本当に何かに没頭してしまうような情熱は特に求められていないのでしょう。

逆に言えば、管理された世界では、自分の感情を表に出さない良くも悪くも80点ぐらいの仕事が求められる。


↑管理された社会では、良くも悪くも80点ぐらいの仕事が求められる。

テレビゲームや絵を描くことに自らの意志で没頭する人はたくさんいますが、受験や学校の勉強が好きで好きで寝る間も惜しんで没頭したという人はあまり聞いたことがありません。

将来のためだと、好きでもない受験勉強を精神的な忍耐強さで乗り切った人達がほとんどなのでしょう。

そう言った意味では、企業がそういった忍耐強さを持ち、80点の仕事をしっかりとこなしてくれる高学歴の人達を採用したいというニーズが高いのは十分納得がいきます。

組織化された管理社会とは、60点以下では困るけど、90点以上取られてしまっても困るというあくまで平均点が求められる場所なのだろう。

もう80点の努力は報われず、300点の夢中だけが報われる「夢中になれたら、成功するのは時間の問題。」



組織化された管理社会が、主観や情熱を削ぎ取った80点の仕事が求められるのに対して、管理されていない世界では、主観や情熱こそがすべてであり、常に100点満点中200点、300点の仕事をしなければ生き残っていけません。

1992年のアメリカ映画「摩天楼を夢みて」の中で、上司が部下の営業担当にこう言いました。

「1等賞はキャデラック・エルドラドだ。2等賞はステーキナイフだ。3等賞は?3等はクビだ。わかったな?」

実際、これはどの世界も同じようなものでしょう。

文章の世界では、1位は村上春樹やJ.Kローリング(100点満点中500点)、2位はちょっと名の知れたブロガーやキンドル作家(200点)で、3位は、食べていけない作家やブロガー(80点)


↑管理されていない世界の最低合格点は200点。

YouTuberにしても、1位はヒカキン(100点満点中500点)、2位は上位2%前後のインフルエンサー(200点)、3位は中途半端な情熱で好きなことで食べていくことに憧れる人達(80点)という縮図になっています。

ベンチャー企業では社長は「社員は3倍、重役は10倍働け。俺はもっと働く!」と言って会社を大きくしていく。

これを、好きなことを仕事に変えていく場合に例えると、従業員は仕事している時間以外はすべて、フリーランスは空いている時間はすべて、そして、ニートや無職は生きている時間のすべてを好きなことに没頭していかなければなりません。

好きなことに本気で没頭できたら、後は、成功するのは時間の問題。

努力することのリターンは、毎年確実に少しずつ実るものではなく、下記の「Jカーブ」のように現れてくることを理解しておくと、安心して好きなことに没頭することができます。


↑成功は毎日少しずつではなく、Jを描くカーブのように訪れる。

この「Jカーブ」の特徴は、努力すればするほど結果の出ない深みにハマっていき、あるポイントを超えると一気に急上昇して止まらない勢いで成長していくこと。

例えば、ブログにしても、YouTubeにしても、「Jカーブの法則」に習えば、まず100個のまともな記事や動画を作ってやっとスタートラインに立ったと言えます。

ほとんどの人は「努力すれば、必ず結果が出る」と信じて物事をスタートさせ、一ヶ月、半年、一年と結果が出ないことにどんどんやる気を失い、「浮上期」を迎える前に諦めてしまう。

ビジネスにしても、何にしても、「洗面器から最後まで顔を上げなかったものが勝つ」が鉄則ですが、YouTubeの広告費だけで食べていけるのは、全体の0.3%だと言われますから、99.7%の人達は、「浮上期」を迎える前に、苦しくて、洗面器から顔を上げてしまうのです。


↑ほとんどの人は、「浮上期」を迎える前に、苦しくて洗面器から顔を上げてしまう。

東大卒のYouTuber、マスザワ内閣さんは東京大学の合格者はその年の大学受験者のうちの約0.5%だとして、YouTuberとして食べていくのは、東大に入るより難しいのではないかと述べています。

そういった意味では、努力で東大に入れた人であれば、努力で活躍するYouTuberになれるかもしれない。

しかし、努力で東大に入る自信がない人が、好きなことで成功するためには、努力という言葉を忘れて、夢中になるしかありません。

夢中とはまさに漢字の通り、夢の中に入って没頭し、時間という概念を忘れてしまうことです。




↑努力で東大に入る自信がない人がない人は、夢中になって没頭するしかない。

努力の達人として知られるイチロー選手も、「努力は報われるますか?」という質問に対して次のように答えている。

「報われるとは限らないですね。もっといえば、努力と感じている状態は、まずいでしょうね。その先に行けば、きっと人には努力に見える。でも、本人にとってはそうじゃない…という状態が作れれば、それは勝手に報われることがある…ということだと思います。」

きっと、今の若い人達に足りないのは、特別なスキルや経験ではない。

自分がこれだと思ったら、中途半端なバランスを取ろうとせず、好きなことに没頭するという覚悟が足りていないのだろう。

若者が自殺するほどの辛い仕事が4年間で45%も増加。クソ仕事を辞めて、今すぐ好きなことに没頭しろ。



これからの時代は、いくらお金を貯められるかではなく、どれだけ好きなことをしながら、稼ぎ続げられるかというマインドが重要になってくる。
世の中には、「◯◯業界をぶっ壊す!」という「Do」の野心に燃える人達がいる一方で、「自分たちは◯◯し続ける」という「Be」のマインドを持った人達もたくさんいます。

恐らく、「Do型」と「Be型」は、置かれている状況や考え方が少し違うだけで、最終的には同じところにたどり着く。

ぶっ壊すと野心に燃える「Do型」の人は、その業界が30年遅れているから、ぶっ壊すというスピードで一気に進めていかなければ、革新は起こせないと考えているため、しっかりと目標を持って前に進んでいきます。

それに対して、◯◯をし続ける「Be型」の人達は、思考が30年先を行っているため、とりあえず自分の好きなことをしながら、時代が自分に追いついてくるのを気長に待っていればいい。






↑「自分たちは◯◯し続ける」という「Be型」の人達は、時代が追いついてくるまで、遊んで待っていればいい。

戦前と戦後という時代の大きな節目を経験した人達は「◯◯をしたら成功できる」というHow(成功の仕方)をあまり信用しないと言います。

これは現代も同じことで、明日のことが分からない時代に過去の成功のノウハウであるHowの部分をいくら学んでも、すぐルールや時代が変わってしまって、そのHowはすぐに役に立たなくなってしまう。

管理された世界から抜け出す勇気は、「◯◯をしたら、◯◯という結果が出る」というHowをどれだけ身につけても得られない。

まずは、自分の一生をどうしたいのかというWhyの部分を明確にしなければ、管理されない新しい世界で生き残ることはできないでしょう。

YouTubeの稼ぎ方、Noteの稼ぎ方、せどりからFXまでHowの部分を教えてくれる人は何百人といますが、Whyの部分を知っているのは自分しかいません。


↑明日すべて変わってしまう時代にいくら「How」を学んでも意味がない。

YouTubeで成功している0.3%の人達の動画を見ていても、やはりコンテンツを通じて、生き方が明確になっていますし、そう言った意味では、これだけYouTubeの成功法のHowが出回っているに、99.7%の人が成功できていないのも納得がいきます。

厚生労働省の統計データによれば、2012年〜2016年の間に、29歳以下のグループにおいて、仕事が原因の自殺が45%も増加している。

ファミコンにプレステのソフトを入れても機能しないように、きっと、平成、令和の若者たちが昭和で時代が止まってしまっている会社に放り込まれることは、自殺するぐらい辛いことなのだろう。

国連は、持続的な経済成長を生み出すために、10年後の2030年までに6億個の新しい仕事を作り出さなければならないという調査を発表しています。






↑仕事が辛くて自殺する人が増える中で、あと10年で6億の新しい仕事を生み出す必要がある。

未来を担う若者が自殺するぐらい辛い仕事というのは、もう過去のほとんどやる価値のないクソ仕事であることはほぼ間違いない。

仕事に多くのプレッシャーやノルマがあったとしても、これからを生きる若者が未来を感じさせる仕事して、自殺などするわけがありません。

人工知能が高度に発達した後にやってくるのは、間違いなくやりたいことは機械やAIに任せて、人間はやりたい事だけに没頭するクリエティブ・エコノミーだ。


↑未来を感じさせる仕事をして、若者が自殺するわけがない。

この新しい世界では、今まで80点でよかった人の価値がほぼゼロになり、好きなことに没頭して200点を取れる人だけが幸せに暮らせる。

20世紀の格言が「オフィスで死ね。死ぬまで稼げ。死ぬまで商売の手を休めるな。」だとしたら、21世紀の格言は、「遊びながら死ね。死ぬまで遊べ。死ぬまで遊びに夢中になることを忘れるな」になるだろう。

ヒカキンのように、遊びに一番夢中になった人が一番稼げてしまう時代なのだから。

まとめ「スキーを学ぶ最善の方法は、転ぶとわかっていても、速く全力で滑ること。」



人類史上最も偉大な芸術的偉業を成し遂げた1440年〜90年頃のフィレンツェには、とりわけ安定した自由や平和があったわけではありません。

むしろ、恐ろしい伝染病が大流行、権力を持つ一族同士の激しい争いによって分裂し、教会に支配され続けていました。

逆に、現代の日本は、日本の歴史が始まって以来、最も豊かで自由な時代だ。

内戦も、飢餓もないし、会社をクビになったところで、本当のクビを切られるわけではない。

むしろ、安定しすぎてしまっているからこそ、何でもいいから新しいことに挑戦して、安定と不安定のバランスを取ることが一番良い精神状態を生み出していく。






↑現在の日本は、歴史が始まって以来、最も豊かな時代。

スキーを学ぶ最善の方法は、転ぶとわかっていても、速く全力で滑ることだと言われる。

運動会でも走る直前までは、もの凄く緊張しますが、走り出してしまえば、もう緊張など感じている暇はありません。

何かに没頭して結果を出し続けている人に「その情熱は一体どこから来るのか?」と聞くことは、はじめて空気を吸ったのはいつだったかと聞くようなものだろう。

何かに没頭すれば、するほど、今まで一緒にいた人達がどんどん離れていって、あなたは一時的に一人ぼっちになってしまいますが、1年〜2年何かに没頭すれば、必ず理念に共感する人達が周りに集まってきます。


↑1〜2年何かに夢中になれば、必ず共感する人達が周りに集まってくる。

80点の仕事でOKとされる管理された世界では、人間関係を維持するために愛想笑いやお世辞などを含めた社交辞令が必要でした。

しかし、最低200点の仕事が求められる管理されない世界では、共感や仕事の質によって繋がっていくため社交辞令は必要無くなっていくことでしょう。

マイク・タイソンが言うように、戦いの9割は実力での戦いではなく、精神の戦いで、マイク・タイソンは全盛期、試合の前は、相手を打ち負かすことを想像し過ぎて、3日間風呂に入ることを忘れることもあったのだと言う。




↑200点以下が赤点の世界では、社交辞令は必要ない。

管理された企業で、自分が200%没頭できる何かが見つけられれば、そんなに幸せなことはありません。

でも、あの世界一働きたい企業に選ばれるグーグルでさえ、一度起業にチャレンジした人が休憩する場所として捉えられているくらいですから、やはり自分が没頭できるものは自分で見つけなければならない。

人間というのは、上から押しつけられない時、最高の仕事をするのだろうし、絵を描くのが好きで好きで、毎日4時間しか眠れないという人が成功するのは、もはや実力ではなく、時間の問題だ。

やはり、21世紀は努力だけでは幸せになれない。

夢中になれる人こそが、お金も幸せも手に入れてしまう時代なのだから。

今回の記事は下記の書籍を元に記事を作りました。もっと、詳しく知りたい方は、こちらの本も是非読んでみて下さい。

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