国立がんセンター研究所のレポートによれば、味噌汁を飲む人と飲まない人を比べると、特に男性の場合では、まったく飲まない人の胃がんの死亡率は、毎日飲む人と比べて約50%も高くなるのだと言う。
また、これは心筋梗塞や肝硬変などでも同じような傾向が見られ、女性の場合は、1日3杯以上の味噌汁を飲むことで、乳がんの発生率が40%も減少するのだと言います。
江戸時代の人たちは年間18リットルもの味噌を食べていたと言われ、「味噌汁は医者殺し」、「味噌汁は朝の毒消し」、味噌汁一杯で三里(12km)を歩く力になるという意味で「味噌汁一杯三里の力」という諺が人々の間で浸透していました。
↑みそ汁は医者殺し。
現代でも「脳みそ」という言葉が使われるのは、古来より味噌が人間にとって重要な存在であったことに由来すると言われていますし、「そこがみそ」という表現も、同じような由来があるのではないかと言われている。
また、長崎に原爆が落とされた時、爆心地から1.4kmしか離れていなかった秋月博士の病院で、病院に次々と運ばれてくる被爆者と病院のスタッフに玄米と野菜、そして、わかめのみそ汁の食事を厳格に守らせたことで、他の病院では何人もの患者が放射能被ばく障害で亡くなったにもかかわらず、秋月博士の病院では一人の犠牲者も出さずに済んだという有名な話があります。
秋月博士は、栄養論について「玄米飯に塩を付けて握り、濃い味の味噌汁を作り毎日食べる」と述べている。
人間の身体のシステムはそんな簡単に変わるものではなく、遺伝子レベルでその土地の風土にピッタリ合うようになるまでには200年かかるとも言われています。(1)
↑みそ汁を飲んだことで助かった人たちがいた。
例えば、ハワイの日系3世の人たちは、ネイティブのハワイアンの人たちと比べて、糖尿病にかかる確率が圧倒的に高いのだと言う。
日系1世、2世の人たちは、ある程度の日本の食習慣が残っていますが、3世にもなると食生活は現地の人たちとほとんど変わらなくなってしまいます。
これは、食の欧米化が進んでいる日本も同じことなのかもしれない。
味噌は、北海道から九州まで、その土地の気候や風土を活かした多種多様なものがあり、むしろ、人を平均化して対処する西洋医学は、それぞれの体質の違いや育った場所の風土などが全く考慮されていません。
↑日本には風土を活かした多種多様な味噌がある。
最近の若い人たちは、資格や学位などよりも、もっと自分の生活のダイレクトに関わる味噌の作り方などを学びたがると言いますが、僕たちが経済的な不安を常に抱えるのは、自分の生活にダイレクトに関わるものを自分の手で作り出せないからなのかもしれない。
遺伝子が本当に求めている食べ物について理解を深めることが、自然と健康や経済的な不安を無くしていくのだろう。
Note
1.車 浮代『1日1杯の味噌汁が体を守る』日経BPマーケティング、2016年
参考書籍
◾️渡邉 賢太郎『なんとなく会社に行くだけの人生を送りたくないあなたへ。』ポプラ社、2016年