先日、日本橋から小田原まで85キロ走る練習に参加してきました。
100km、100mileなどの長いマラソンに参加する第0次関門は、家族の理解を得ることですが、笑顔で送り出してくれる家族は、10年後、20年後の健康が見えている家族なのかもしれない。
車、スマホ、病院など「便利さ」を「お金」で解決してしまうと、人間本来の身体の力はどんどん衰えていく。
脳と筋肉は繋がっており、作家やクリエイターと呼ばれる人達が積極的に運動をするのは、自分の文章やアイディアが老け込まないためなのだろう。
↑自分のアイディアが老け込まないために走る。
最近、話題の小説「成瀬は天下を取りにいく」の中で、変わり者の高校生である成瀬が次のように言うシーンがあります。(1)
「わたしが思うに、これまで二百歳まで生きた人がいないのは、ほとんどの人が二百歳まで生きようと思っていないからだと思うんだ。二百歳まで生きようと思う人が増えれば、そのうち一人ぐらいは二百歳まで生きるかもしれない」
仕事でも、プライベートでも、周りの人に変わって欲しいと思ったら、まずは自分が変わらなければならない。
ユニクロの柳井正さんも、最近発売した本の中で、次のように述べていました。(2)
「(問われるのは)自らが変われるか。よく経営者とか中堅幹部にいるんですよね、人に変わるように命令する。でも、自分が変わらなければ、人が変わらない原因を作ります。」
何もしなければ歳を取るにつれて、無理が効かなくなり、行動力が落ちていってしまいますが、身体に一定の負荷をかけた運動を続けていると、歳を取るにつれて、逆に行動力が促進されていく。
↑自分が変わらなければ、人が変わらない原因を作る
資産運用のように、現在の若さに少し負荷をかけて、複利で運用すれば、60代、70代になっても、40代、50代と同じ機動力で動くことができるのでしょう。
病気は、ヤマイ・闇に通じる言霊を持っていると言われるように、病人の人が家にいると、自然と家の空気も重くなってしまいます。
よく「病は気から」と言われる。
マラソン選手の君原健二さんが「あの街角まで、次の電柱まで、あと500メートルだけ……と走り続けるのが、ボクのマラソンです」と言ったように、運動がハードであればあるほど、気を高くポジティブな感情を持って動き続ける必要があり、むしろ、ネガティヴな感情を持ったまま運動し続けることの方が難しいのでしょう。
ある意味、一日で100kmを走るような体験は、何度挑戦しても濃厚で強烈であることは間違いない。
100kmを一緒に走ったということだけで、グッと距離が縮まり、同じ痛みを経験した戦友になっていくのだろう。
↑同じ痛みを経験した人達は戦友になっていく。
最近では、新婚旅行は南国のビーチでゆっくりする代わりに、サハラ砂漠250キロを走って一緒に横断する若者もいるのだと言いますが、もしかすると、こういった人達は、物質文明が行き詰まった先の、精神文明の世界を先取りしているのかもしれません。
どれだけ星の多いミシュランに行こうと、100km走り終えた後の1本のコーラには敵わない。
仕事でしんどい思いをして貯めたお金で泊まる高級ホテルよりも、100mile走り終えた後で眠る普通のベットの方が良いと思えたらなら、物質文明が行き詰まった先の世界も、問題なく生きていけるのではないだろうか。
Note
1.宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく 「成瀬」シリーズ』新潮社、2023年 2.杉本 貴司『ユニクロ』日経BP、2024年
参考書籍
◾️福山眞弘『人生を変える!40歳からのウルトラマラソン』OUTSTANDING出版、2022年 ◾️千田琢哉『作家になる方法』あさ出版、2024年 ◾️小西 昭生『800年に一度の「文明交代」がやってくる コロナ後のニッポン』Clover出版、2020年