東南アジアの国なんかに行って、「ここに来るのは10年ぶりなんです。」なんて話すと、「ここは10年前とは随分変わったでしょう?」とよく言われます。
確かに電車やバスのインフラがしっかりと整っていたり、街がすごく清潔になっていたりと、発展途上の国はたかが10年間でものすごく変化する。
でも、その代償として、世界中どこにでもあるスタバやマクドナルドなどが増えてしまうのもまぎれもない事実なのだろう。
要するに、グローバル化とは、ある地域で起こったことを別の地域にコピペしていくことなのだから、その国の独特の文化というのはグローバル化が進むにつれて、徐々に薄れていくことになる。
実際、ロンドンにしても、香港にしても、ニューヨークにしても、都市に住む人達は大体同じような顔をしている。
ここ数年でも、世界中で、いくつもの面白い場所が姿を消してしまった。
このままグローバル化がどんどん進んで、すべての国で工業化が完成してしまえば、もうその後の経済成長は存在せず、あとは金持ちが資産運用で富を増やしていくだけのつまらない世の中になってしまうかもしれない。
東京でどこの駅を降りても、同じようなカフェやレストランが並び、どこも同じような街並みが並ぶ風景が世界単位で次々と量産されていってしまう。
「グローカル」という言葉があるように、真のグローバル化とは、独自のローカル文化があってこそ成立し、ローカルなしのグローバル化は髪を染めて英語を喋るだけの薄っぺらい人たちを増やしていくだけだ。
いま必死で経済成長している国の人達は、スタバやH&Mがある都市の生活に憧れるかもしれないけど、日本を含めたもう経済成長を終えた国の人達は、経済以外の次の成長のために、消えつつある世界の様々な風景や文化を目に焼き付けておかなければならない。
世の中の変化のスピードが速い時代だからこそ、世の中が変化しないうちに。