October 13, 2018
現金を使わない人の方が、貯蓄増加額が2.7倍多い「新しいものを導入しようとする適合力があるからこそ、貯蓄が増えていく。」

クレジットカード会社JCBが2018年にWebを通じて、全国の20歳から69歳の男女1,000名を対象に行ったアンケートによれば、電子マネーやクレジットカードなどを使いキャッシュレスを好む人達の年間平均貯蓄増加額が87.6万円だったのに対して、コンビニなどでも現金で支払うことを好む現金派は32.5万円と、キャッシュレス派の方が一年間で2.7倍もの貯金を増やせたのだそうです。

さらに、過去数年の年間貯蓄額の増加について見てみると、キャッシュレス派は2016年の47万円から2018年には87.6万円と、年間貯蓄額を2倍近くに増やしています。



それに対して、現金派は2016年の35.5万円から32.5万円と3万円も現象しており、キャッシュレスに適合する人とそうでない人と、そうでない人との間には大きな差が出始めているのは間違いありません。

ロンドンのバスやスウェーデンなどでは、すでに現金を受け付けないというところも出てきていますし、デジタル上の利用履歴から、その人の信用度を測るのは、もう当たり前になってきているのです。



しかし、日本は海外の国々と比べて現金志向が圧倒的に強く、GDPに対する現金の流通量は、中国が9.7%、アメリカが8.3%、そして、スウェーデンにいたっては1.3%に対して、日本は20.5%もあり、利便性や利用履歴などの観点から世界中がどんどんキャッシュレスに進む中、日本は未だに現金志向から抜け出せずにいるようです。

その理由としては、仮に支払いに対する利子が全く付かなかったとしても、クレジットカードの支払いの9割以上が一括支払いというところから見ると、日本人にとっては、「クレジットカードで支払いを遅らせるという発想」=「借金をする」=「借金はネガティヴ」と言うところに結びついてしまうのかもしれません。

また、恐らくそれ以外にも、「新しいものはよく分からないから、とりあえず現金でいいや」という感じで、思考停止に落ち入ってしまっている人も多いことでしょう。



JCBの調査でも、キャッシュレス派は10人に1人しか、「デビットカードという言葉を聞いたことがない。」と回答しているのに対して、現金派は4人に1人がデビットカードという言葉を知らず、「クレジットカードは使いすぎてしまうから」とか「借金はネガティヴ」という感情以上に、新しいものに適合する短期的な手間が乗り越えられないだけなのかもしれません。

貯蓄額と金融の知識が比例すると言われるように、当然のことながら、貯蓄額と「変化に対する適合力」も比例してくるでしょうし、きっと、過去に貼られた感情のフィルターをどう外せるかを「変化に対する適合力」と呼ぶのでしょう。



21世紀は現預金やモノなどの有形資産を蓄えるよりも、変化に対する適合力や健康などの「無形資産」を蓄える方が何倍も大切なのだと言います。

もしかすると、キャッシュレス派の方が圧倒的に貯蓄増加額が多いというのは、現金を使う・使わないという観点よりも、便利なものは少々手間であっても、積極的に利用するという適合力が優れているからなのかもしれません。

参考書籍

◼︎岩田 昭男「キャッシュレスで得する! お金の新常識」、青春出版社、2018年 Kindle ◼︎木内 登英「決定版 銀行デジタル革命: 現金消滅で金融はどう変わるか」東洋経済新報社、2018年 Kindle

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