October 31, 2018
人間臭いセックスの臭いがする街「1人が100万のCDを売るより、100人が1万枚のCDを売った方が文化的に正しい。」

ニューヨーク、ロンドン、ベルリン、深圳、そして、東京の電車の中。

清潔度や時間の正確さは日本がダントツで一位だけど、セクシーさ、良い意味でも悪い意味でも、人間臭さはニューヨークがダントツ一位だと言えます。













ニューヨークの地下鉄で自分の本を売り歩く男性いわく、Subway(地下鉄の)ベストセラーはニューヨークタイムズ・ベストセラーに勝るクオリティーなのだそうですが、こんなことを全く知らない人に向けて堂々と言えてしまうのも、ニューヨークの魅力なのでしょう。

ロンドンの地下鉄はエアコンがなく、ニューヨークの地下鉄は今だに超アナログなプリペードカードを使っていて、日本の地下鉄に比べると効率性も清潔感もかなり劣り、まるで発展途上国の電車に乗っているような感じさえします。

もちろん、ニューヨークやロンドンの地下鉄が東京の地下鉄に学ぶことは多いのかもしれませんが、効率性や清潔感だけでは、訴求するコンテンツとしてはちょっと魅力に欠けてしまうのではないでしょうか。



最近、日本では「進撃の巨人」などのグロテスクな漫画が流行り、子供がこのようなコンテンツを大量に消費してしまうと、子供が暴力的になってしまうという声がよく聞こえてきます。

しかし、心理・精神分析の観点からすると、これは日本の現代社会が汚いモノをどんどん排除することで、世の中が清潔になり過ぎてしまい、喧嘩して相手を殴った時の感覚や、川の中で泥まみれになった時の気分、そして、おもいっきりコケた時の痛みなど、潜在的に子供が一度は味わってみたいと思っている欲求を架空の漫画の中で満たしているのだそうで、むしろ、こういった欲求を溜め込んでしまう方が大きな問題なのだと言います。

また、消臭剤やハンドソープ、そしてファブリーズなど、行き過ぎた清潔志向がCMや広告によって作り出され、今や日本人は世界で一番キレイ好きな民族とも言われますが、最近、日本のハロウィンが本国アメリカ以上に盛り上がっているのは、どんどん進む清潔化、効率化によって押さえつけられた欲求が一気に爆発してしまっているのかもしれません。









ニューヨークは、多種多様の人種が混ざり合った人間臭い「セックスの臭いがする街」だと言われます。

もし、一人のアーティストが100万枚のCDや100万部の本を売るよりも、100人が1万枚のCD、1万部の本を売る方が文化的に正しいのであれば、地下鉄の中で自分の本を売り歩いたり、音楽を演奏したりしている街の方が住んでいる人にとっても、観光客にとっても魅力的なのかもしれません。

日本に帰ってきた瞬間、日本の電車はなんて素晴らしいんだと思う反面、地下鉄の中で、何の躊躇もなく自分の本の販売する容認する人々のセクシーさが恋しくなってしまうのです。

/CITY_SUBWAY