February 12, 2019
グーグル元CEO「慎重すぎて、やることが少ない会社より、動きが速すぎて、やることが多すぎる会社のほうがいい。」

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2020年のアメリカ大統領選に出馬するかが話題になっているスターバックスの元CEO、ハワード・シュルツ氏は、トランプ大統領の政権運営には反対しながらも、政界にはいなかった人が大統領になれることを証明したという部分に関しては、トランプ大統領を評価しているのだと言います。

実は最近、トランプ大統領の過去3ヶ月の細かいスケジュールが明らかになり話題になりました。

トランプ大統領は自身の時間の60%を特に決まって予定が設定されていない「executive time」として活用しています。

その時間は、ホワイトハウスの宿舎にこもって、必要な書類を読んだり、電話をかけるなどして物事をどんどん実行に移しているのだそうです。(残りの15%がミーティング、10%が移動、7%が食事、7%がイベント)


↑トランプ大統領は自身の時間の60%を物事をどんどん「実行」することに使っている。

トランプ大統領は大統領になる前から、「オレが大統領になったら、とにかくハードに働く。ゴルフなんてしている暇はない。オバマ大統領はタイガー・ウッズよりも多くの時間をゴルフに費やしている。」と批判していました。

そう言った意味では、トランプ大統領が優れた大統領であるかどうかは別にしても、考えるだけで何もしないのではなく、とにかく行動することで、自身のビジネスを大成功させ、政界の外から大統領にまで上り詰めた行動力からは学ぶことが多いのかもしれません。

知識とは、すでに他人が考えた結果であり、知識を身につければ身につけるほど、頭だけが大きくなって、想定外の失敗を恐るようになることで、行動力がどんどん落ちていくことになるでしょう。(1)


↑知識を身につければ、身につけるほど行動力が落ちていく。

アップル、グーグル、フェイスブック、そして、アマゾン、この4社の合計時価総額(363兆円)は日本の全上場企業約3600社の時価総額(667兆円)の半分をゆうに超えています。

これは、ジェフ・ベゾスの「野球は一回のスイングで最大4点しか入らないが、ビジネスの場合は一回のスイングで1000点入る可能性がある。」という言葉や、グーグル共同創業者であるラリー・ペイジの「慎重すぎて、やることが少ない会社より、動きが速すぎて、やることが多すぎる会社にしたい。」という言葉から見て取れるように、9割失敗しても、1割大成功すれば何も問題ないと言って、挑戦するマインドの違いが大きな結果の違いが生むのでしょう。(2)

ホームランをたくさん打つ人は、それと同時に三振王でもあります。予測が立てることが難しい時代には、とにかくじっくり考えて最適な行動を起こそうとするのではなく、行動(実験)→思考→知識の順序で物事を進めていかなければなりません。




↑米大手IT4社の時価総額の合計は、日本の全上場企業約3600社の半分以上。

挑戦と失敗は同類語であり、先に知識が身についてしまうとご飯や旅行の価値なども、他人のレビューでしか判断することができなくなってしまいます。

仕事でも、1ヶ月かけて100点の成果物を出すより、1週間で50点の成果物を出して、常にアップグレードしていく方が良いものになりますし、特に20代の人達が会社を選ぶ場合は、給料が多くもらえる会社よりも、できるだけ多くの打席に立てる会社を選ぶ方が、長期的に自分の付加価値が高まっていくことでしょう。

打席に立ってみないと、ピッチャーの球が速いのか遅いのかもよく分かりません。


↑知識を先に身につけてしまうと、他人の解釈でしか、物事を判断できなくなってしまう。

オードリーの若林正恭さんは、「スベり続けていた20代の10年間はあれはあれで意味のあるものだった」として次のように述べています。(3)

「打席に立たないとダメだし挑戦しないとデータが集まらないのだろうな。ぼくは、世の中の成功者が書く啓発本の『挑戦しなさい!』という言葉は強者の論理感が強くて嫌いだ。でも、精神論ではなくてデータの総量の増大という意味での挑戦の大切さのことなら納得できる。」

「(中略)これからはスベったら『データの総量の増大に繋がったな』と自分に言い聞かせて乗り越えることにする。」


↑どんどん打席に立たなければ、行動のデータは貯まっていかない。

本田宗一郎は、平日にゴルフをしていた役員にはカミナリを落としていたそうです。

ドラッカーが知識社会を指摘し始めたのは、1950年末のことですが、2019年の現在は、知識社会から行動社会への移行時期になるのかもしれません。

参考書籍◆1.外山 滋比古「お金の整理学」小学館、2018年 ◆2.フレッド ボーゲルスタイン「アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか」新潮社、2013年 ◆3.若林 正恭「ナナメの夕暮れ」文藝春秋、2018年

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