December 8, 2016
福山雅治、ビートたけし、タモリは1日1食。カロリー4割減なら老化を防ぎ、6割減なら悟りを開ける。

image_flickr_Carol Lin_CC

近年、様々なドキュメンタリーやファーストフードに関する調査が行われ、人々が自分たちが食べているもの、そしてその食べ物が自分たちの体にどのような影響を与えているかを真剣に考えるようになってきました。

少し前まで、「オーガニック・フード」や「ファーマーズ・マーケット」と言えば、青山や自由が丘のセレブがファッション感覚で食べているようなイメージがありましたが、「食」という漢字は「人」を「良」くすると書き、「良く生きる」ことは「良く食べる」こと、逆に言えば、「食べ間違い」は「生き間違い」ということになってくるのかもしれません。


↑「良く生きる」ことは「良く食べる」

現在、日本の農産物のうち、オーガニック(有機野菜)が占める割合は、たった0.24%、オーガニック先進国と言われるヨーロッパは、スイス10.9%、イタリア8.9%、ドイツ4.7%、そしてイギリスが3.9%と、このデータを見ただけでも日本の状況がどれだけ酷いのかが良く分かります。(1)

そもそも日本の伝統的な食生活は、戦前まで至って質素で健康的なものでしたが、戦後しばらく、飢えに苦しむ日本がアメリカからの食料援助を受けたことで、日本の食生活が激変してしまいました。


↑戦後、日本の伝統的な食生活は激変していく。(Flickr_Freedom II Andres_CC)

1954年、日本では学校給食法が制定され、アメリカで大量に余っていた小麦が、パンや脱脂粉乳として子供たちの給食に登場したことで、子供たちの舌はアメリカの食生活に洗脳され、日本はアメリカから永続的に小麦や牛肉を買い入れてくれる、総勢1億3000万人のリピーターになりました。

日本マクドナルドの創業者、藤田田は次のようの述べたと言われています。

「人間は、子供のころに食べて覚えた味はその後、一生食べ続ける。」


↑一度「洗脳」された舌を直すのは難しい。

ご存知の通り、アメリカの食べ物は高カロリーのものが多いですが、ウィスコンシン大学で20年間にわたり、餌のカロリーを70%に制限したサルのグループとカロリー100%のグループを比較したリサーチによれば、70%に制限したグループのサルは毛のツヤがよく、肌も若々しくて、活発に動き回り、1.6倍も長い生きしたのに対し、カロリー100%のグループのサルは一様に老け、毛もパサパサだったそうです。

さらに1935年にコーネル大学のマッケイ教授が発表した調査によれば、カロリー60%に制限したマウスのグループは、カロリー100%のマウスに比べて2倍長生きすることが分かりました。


↑カロリーを制限するだけで、寿命は明らかに延びる。

インド国立栄養研究所のマッカリソン博士が行った実験でも、白パン、マーガリン、白砂糖入り紅茶、そして缶詰の肉などイギリスの通常の食事を与えたマウスは脳に精神異常が見られ、最終的にはお腹は満たされているのにもかかわらず「共食い」を始めてしまいました。

長寿研究の世界的な第一人者である森下敬一博士は、この実験について次のように述べています。

「イギリス食の献立は、昨今、レストランばかりか、日本人の日常の食卓にも上がり始めた食事内容であるだけに、いろいろな問題をはらんでいる。」


↑日常の食事にも脳を狂わせる危険は数多くある。

最近日本でも、この行き過ぎた高カロリーの食生活におかしいと気づいた一部の著名人が、「あまり食べない食生活」を心がけていると聞きますが、中でもビートたけし、福山雅治、ガクト、そして30年以上、「いいとも!」を休まず続けたタモリさんは、「1日1食しか食べない」と公言しており、シャカ、マホメット、そしてイエス・キリストは断食修行を繰り返したことで悟りを開いています。

そもそも毎日3食を食べているのは人間サマぐらいで、過酷な自然界では1日どころか、1〜2週間エサにありつけないことも普通にあるそうです。

このような自然界に身を置くと、餓死に対して抵抗力がつき、空腹になればなるほど、直感や行動力が研ぎ澄まされ、視覚、嗅覚、聴覚、そして瞬発力など、動物が本来持つ力を飛躍的に高めることができます。


↑空腹によって、本来動物が持つ力を飛躍的に高めることができる。

1998年に、米国バージニア州で開催された「抵齢学会」の報告によれば、通常よりも25%〜40%を制限することで、老化、肥満、ガン、糖尿病、冠状動脈疾患の予防に大きな効果があることが証明されており、少食がガン予防と治療に、極めて有効であることが立証されています。

船瀬 俊介さんは「やってみました! 1日1食」という本の中で次のように述べています。

「政府や医学界が”3食キチンと食べろ”とうるさく言うのは、”キチン” と食べて、しっかりと病気になって、しっかりと稼がせてくださいというホンネが裏にあるのです。ドイツには古くから次の諺があります。1日3食のうち2食は自分のため、1食は医者のため。」

「腹8分(カロリー2割減)で医者いらず、腹6分(カロリー4割減)で老いを忘れる、腹4分(カロリー6割減)で仏に近づく。」



↑3食キチンと食べて、しっかりと病気になって下さい。

2010年、チリ鉱山で地盤事故があり33人が地底深くに閉じ込められましたが、彼らは48時間ごとにビスケット1枚、ツナ2さじ、そしてミルク1杯を食べたそうですが、救出された時、ガッツポーズを取るほど元気な姿だったことを考えると近代の栄養学が100%正しいわけではなさそうです。

さらに、食事を減らすと睡眠の質が上がるため、睡眠時間も短くて済みます。実際、昔の日本人は、1日2食で睡眠は短く早起きで、天皇家もずっとその規則を守っているそうです。

日本には、日本人が自覚していない優れた文化がいくつもあり、特に食文化に関しては、マドンナやトム・クルーズなど海外のセレブが実践している「マクロビオティック」が有名ですが、マクロビオティックは精白されていない米(玄米)など主食とし、副菜として野菜や海藻、豆類をとる食生活で、日本人の桜沢如一氏が考案しました。

マクロビオティックは「自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する」という意味で、ヨガの思想にも近く、ニコール・キッドマン、デミ・ムーア、クリントン元米大統領、キューバののカストロ前議長、日本では松井秀喜選手なども実施しているそうです。


↑日本人が自覚していない、素晴らしい食文化「マクロビオティック」

コンビニや自動販売機がこれほど街中に溢れている都市は世界中探しても東京ぐらいしかなく、日本は戦後古い価値感から脱却し、20世紀のアメリカ的な思想に習ってあらゆるものを効率化してきました。

それは20世紀の価値感からすれば、日本は世界的に見てもかなりの優等生だったのかもしれませんが、国の登録有形文化財に登録された歌舞伎座の建て替えや、経済優先でどんどん壊されていく美しい田園、そしてアメリカの食文化に洗脳された舌など、そろそろ僕たちは、20世紀の効率を重視するアメリカ文化から脱却していかなければなりません。

「龍馬が行く」の著者として知られる、故人・司馬遼太郎さんは日本の未来について、「不用意な拡張や破壊を止めて、自然を美しいものとする優しい日本に戻れば、この国に明日はある」と述べていますが、食生活に関しても同じことが言えることがないでしょうか。


↑アメリカ的な食生活を止めて、日本従来の食生活に戻れば、日本も少しずつ変わっていくのではないか。(Flickr_Vintage Japan-esque_CC)

地球温暖化を防ごうとゴミの分別を頑張っても、地球環境がよくなっているとはとても思えません。日本の伝統的な自然を守ろうと一人で叫んでも何も変わらないかもしれません。

でも食生活は自分の健康に直結し、体に良いものを食べれば体調の変化にすぐ気付くため、結果が分かりやすいのではないでしょうか。20世紀のアメリカ的な考えから脱却し、新しい時代の一歩を踏み出すのは、一番効果を実感しやすい食生活から変えていくのが一番早いのかもしれません。

参考書籍1.高城 剛「オーガニック革命」集英社、2010年 P138

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