テクノロジーの発展により、スクリーンとにらめっこする時間が増え、自分の頭で考えたり、人の目を見て人間らしい会話をする機会がどんどん少なくなってきています。
恐らく多くの人たちが、スマホの電源を切って自分と向き合う時間を増やしたり、スマホを見ながら人と会話することがどれだけ失礼なことなのか気づいているように思いますが、テクノロジーはある意味、麻薬と同じで一度中毒になってしまうと、なかなか抜け出すのが難しいのかもしれません。
↑会話のない食事がどんどん増えている。
昨日のニューヨークタイムズに、iPadが始めてリリースされた時のジョブズのインタビューが掲載されました。ジャーナリストが、「お子さんもiPadが大好きですよね?」と訪ねるとジョブズは次のように答えました。
「うちの子供はまだiPadを使っていないんだ。うちの家庭ではテクノロジーの使用は制限しているからね。」
UCLAの調査によれば、現在、アメリカの子供は一日平均7時間半、スクリーン(テレビ、パソコン、ゲームなど)とにらめっこしていると言われており、数日間、電子機器の利用を禁止しただけで、子供たちの社交スキルがまたたくまに向上したそうです。
イギリスでは4人に3人の子供がタブレットで遊ぶことに慣れてしまい、ブロックなど普通のおもちゃで遊ぶことができなくなっています。
さらに「スワイプ」中心の遊びになってしまっているため、他人とあまり会話する機会がなく、コミュニケーション•スキルがどんどん低下しているそうです。
↑本当にこれで良いのか?
子供だけではなく、大人もテクノロジーへの依存が強くなればなるほど、攻撃的な性格になったり、疲れやすい体質になります。グーグルの元CEO、エリック•シュミット氏はボストン大学の卒業式で学生に次のような言葉を送りました。
「今日のスピーチの中で、一つだけ覚えておいてほしい。1日1時間はスマホをOFFにする習慣をつけよう。”いいね!”ボタンを押すだけじゃない。直接それを言ってあげよう。」
「スクリーンの中で会話をするんじゃなくて、直接会って本当のコミュニケーションを取ろう。人生はスクリーンの中で起こっているわけじゃない。これだけは忘れないでくれ。」
↑人生はスクリーンの中で起こっているわけじゃないんだ。
Twitterの創業者、エヴァン・ウィリアムズ氏やワイヤードの元編集長、クリス・アンダーソン氏の家庭でもテクノロジーの使用を制限しており、子供に紙の本を読ませたり、寝室へスマホを持っていくことを禁止しています。
「No.1 ルール: スクリーンは寝室に存在しない。これは絶対だ。」(クリス・アンダーソン)
ウォルター・アイザクソン氏はジョブズの家族と多くの時間を過ごして、ジョブズの自伝を完成させました。アイザクソン氏は次のように述べています。
「毎晩スティーブはキッチンの長いテーブルに座って、書籍や歴史など様々なことについて議論をしていました。その席で、iPadやコンピューターを取り出す者は誰一人いませんでした。」(ウォルター・アイザクソン)
↑コンピューターには何ができて、何ができないのか。子供のうちに理解しておく必要がある。
良い意味でも、悪い意味でも子供は自分の好きなことに夢中になります。ゲームやアプリなど、コンテンツを作る人になることは大いに結構なのかもしれませんが、 多くの大人のように「コンテンツを消費するだけの人」になってしまうと、そこから抜け出すのは簡単なことではありません。
IT業界で成功した人の大半は、最初からそこに気づいていたのではないでしょうか。