January 6, 2019
グーグルの創業者が遊び、面接でも使われるレゴ「人は実験→思考→知識の順で学ぶと賢くなる。」

世界中で、子供の遊び道具を超えて、様々な目的で使われているレゴのブロックは発売から60年で、6兆個のブロックが生産され、わずか6個のブロックで、実に9億1500万通りの組み合わせがあるのだと言います。

レゴのブロックを使えば、ドラえもんから、本物の大きさの車、そして、実際に使えるトイレとシャワーを備えた二階建ての家までつくることができ、グーグルの創業者ラリー・ペイジは、本物のように印刷ができるインクジェットプリンターをレゴブロックで作り、難関で知られるグーグルの面接にもレゴが使われるのだそうです。







LEGOとは、デンマーク語で「よく遊べ!」を意味する「leg godt」の頭の文字を組み合わせた造語ですが、とにかく寒くて、日が短く、家の中に篭る時間が長い北欧の国々では、幾何学、数学、物理学、そして、想像性から3次元的思考までを養うレゴブロックが子供の人生の準備をするおもちゃとして使われています。

レゴの本社があるデンマークを含む人口わずか2500万人の北欧諸国からは、イケヤ、H&M、スカイプ、スポティファイなどの世界基準のサービスが数多く生まれているのはご存知の通りです。

しかし、その一方で「面白いアイディアがあったらパクって大儲けしてやろう」、「オリジナルよりもまずパクれ!」とグローバル市場で新たなチャンスを狙っている中国人やインド人が何十億人もおり、そういった環境でも市場を奪われないアイディアとは、子供の頃に見つけた思考回路が大きく影響しているのでしょう。







もう私たちはスマホが無ければ、漢字さえ書けません。AIがどんどん発達していくということは、逆に意識的に頭を使う努力をしなければ、自動的にバカになっていくということでもあります。

現代の社会では、知識は検索すれば誰でも安易に手に入れることができるため、たくさんの知識を持っていたところで大した価値はないでしょう。さらに知識とは、「他人が考えた結果」であるため、知識を身に付ければ、身に付けるほど、個性というものはどんどん失われていってしまうものなのかもしれません。

人間は、実験→思考→知識の順に身に付けることで、賢くなるのだと言いますが、これを実行するためには、子供がレゴを使って遊ぶ時のように夢中のフロー状態の中で、「難しかったけど、楽しかった(Hard Fun)」という幸福感を持続的に生み出していく必要があります。





よく昔から「すべての発育は指先から」と言われるように、レゴのブロックで指先を使うことで、脳に刺激を与え、考えるだけでは新しい行動に繋がらないため、ブロックを触る行動を通じて、考えを柔軟に変化させていかなければなりません。

レゴを使って遊ぶ時には、マニュアルや説明書がない方がいいと言われます。

車をつくってみたい、お城をつくってみたいといった感じで想像力を働かせ、ブロックを探す部分でも脳が刺激されるため、レゴは自分のイマジネーションを実現させる強い武器になっていくことは間違いないでしょう。

人間の暗黒時代とは、子どもの頃、最後にレゴで遊んだ時から、親になり子どもとレゴで遊ぶまでの期間。



レゴ社が発表しているレポートによれば、現在の子供たちはデジタル世界とリアル世界の境界線を見極めずらくなっているのだと言います。

そこでレゴはアップルと協力し、実際に自分の手でつくったレゴの作品を写真撮影して、AR(拡張現実)のデジタル上に取り込むことで、その作品の周りに新たなデジタル世界をつくれる仕組みを開発しています。

さらには、レゴは自社技術のプラットフォームを解放して、スマートフォンアプリと連結させたり、プログラミングでブロックを動かしたりするシステムを開発するなど、リアル世界とデジタル世界を結びつけるオープンイノベーションも積極的に行っているのです。

そう言った意味では、レゴはブロックというハードを販売しながらも、問題解決や創造力を促進させるソフトを売っていると言えるのかもしれません。





最近では、企業のワークセッションでも、レゴのブロックが使われるようになってきており、大人になってからレゴにハマってしまった企業家のヒレル・クーパーマンはTEDスピーチの冒頭で次のように述べています。

「人間には暗黒時代があります。暗黒時代とは、子どもの頃、最後にレゴで遊んだ時から、親になり子どもとレゴで遊ぶまでの期間です。」

その人の給料は、その人の希少性によって決まっていきます。

宇多田ヒカルのコンサートに宇多田ヒカルではない別の人が歌ってもファンは絶対に納得せず、宇多田ヒカルが歌うからこそ、ファンは高いチケット代を払っているのです。









最初に述べたように、グローバル市場には、「面白いアイディアがあったらパクって大儲けしてやろう」と常にチャンスを狙っている中国人やインド人が何十億人もいます。

そういったグローバル人材のレッドオーシャンの中で、2500万人しかいない北欧の人たちが常に新しいものを生み出しながら、生活水準の高いライフスタイルを維持しているところから学ぶことはきっと多いのではないでしょうか?

北欧諸国の政府に共通する考えは、「弱い企業は規模が大きくても、救わない。救済はしないが、環境は整える。雇用を守るのではなく、『人』を守る。手厚い社会保障は市場の代謝を良くするため」というもので、フィンランドの経済成長の25%に貢献しながらも低迷し、2013年にマイクロソフトに買収されたノキアを政府は守ろうとはしませんでした。





その後、ノキアの元社員がつくったスタートアップは1000社に上ると言われ、子供の頃にレゴで遊びながら学んだ「難しかったけど、楽しかった(Hard Fun)」という感覚こそが、どんな新しい環境にも適合させる人材を生み出し続けているのでしょう。

いや、大人になっても、レゴで遊び続けているかもしれませんね。

グーグルのラリー・ペイジのように。

/LEGO