April 7, 2019
午前中にメールの返信だけは絶対にするな「仕事とプライベートを一緒にする人ほど、時給が圧倒的に高い。」

昨日、アメリカの長距離列車に乗りました。

飛行機やバスに5時間乗るのは気が進みませんが、席が広く、しっかりとした食事もとれて、景色も楽しめる長距離列車に5時間乗ることは不思議と全く苦痛になりません。

また、コーヒーはファミレスやマクドナルドでも飲めるのに対して、スターバックスが提供しているサービスの本質は、コーヒーではなく、ゆっくりとくつろげる時間であるといったように、同じ一時間でも過ごし方によって時間の質は大きく変わってくるのです。




↑同じ一時間でも環境によって、時間の質が大きく変わってくる。(LC.inc)

子供の頃は、お金よりも時間の方がたくさんあるけれど、大人になるにつれて徐々にそれが逆転してくることは多くの人たちが感じることでしょう。

もし、これと同じように、世の中のスピードが速くなればなるほど、「お金」よりも「時間」の方の価値が高くなってくるのであれば、時間をどう「節約的観点から効率的に使うか」ということよりも、時間をどう「創造的観点から快適に使うか」ということを真剣に考えていかなければなりません。

例えば、新幹線よりも飛行機の方が移動時間が短いと考えてしまいがちです。

しかし、新幹線は席も広くWifiも使えて、仕事が捗るのに対して、飛行機は空港までの移動時間や搭乗の手続きなどがあり、機内も物凄く狭いため、快適に時間を過ごすことはできないでしょう。


↑お金よりも時間の価値が高い時代は、節約的観点ではなく、創造的観点で物事を考えていかなければならない。(LC.inc)

そういった意味で、広島、岡山ぐらいまでは、飛行機ではなく、中で快適に仕事ができる新幹線を選ぶビジネスマンも多いというのは十分納得がいきます。

本の虫でもある池上彰さんは、最近は新幹線のスピードが速くなってしまって、ゆっくり本を読む時間が減ってしまって残念だと、最近出た本の中で述べていました。(1)

時間の質に徹底的にこだわった田中角栄は、一日の密度を2倍にして、人生を160年にしようと考えましたが、時間の質を上げるためには、通勤や事務処理などの「死んでいる時間(負の時間)」をどれだけ減らせるかが重要になってきます。(2)

いつも同じ服を着ているマーク・ザッカーバーグにとって、服を選んでいる時間は「死んでいる時間」なのでしょうし、日常品から食材まで何でもネットで買う人が増えているところを見ても、多くの人が買い物という行為自体を「死んでいる時間」と考えているのは間違いありません。


↑時間の質を上げるためには、まず、「死んでいる時間」をできるだけ減らさなければならない。(LC.inc)

また、日本などでも、アプリひとつで、できたての料理を自宅まで持ってきてくれるUber Eatsなどが普及し始めていますが、中国やマレーシアでも、このようなサービスがどんどん普及し、デリバリーのお金を払ってでも、「死んでいる時間」を少しでも減らすことで、自分の時間の質を上げようと考える人たちが増えています。

逆に先日、堀江貴文さんがATMに大量に並んでいる人たちを見て、「並んでる時間のことは気にしないのか」とツイートしていました。

優秀な人でさえ、日々様々な手を使って、「死んでいる時間」を減らそうと必死になっているのに、一般の人がATMに並んだり、通勤に時間をかけるなど、「死んでいる時間」にどっぷり使って消耗し続けていては話になりません。







↑「死んでいる時間」を減らす努力をしなければ、どんどん世界から遅れをとっていく。(LC.inc)

また、一日中バタバタと忙しく仕事をしていた割に、仕事が全然進んでいないような気がするのは、会議や電話などで、一回一回作業が中断されているからで、多くの人が一日8時間仕事しているように見えて、実際は数時間しか集中して作業ができていないからなのでしょう。

ウェブアプリケーションを制作するBasecampのCEO、ジェイソン・フリード氏は「分割された一時間」と「集中した一時間」では、質が全然違うのだとして次のようの述べています。(3)

「1×60=60、2×30=60、4×15=60、25+10+5+15+5=60。挙げた式はどれも60分になるけれど、それらの時間の質はまったくちがう。数字は同じかもしれないが、質がちがうのだ。僕らが求めている時間の質は1×60=60だ。」


↑求められる時間の質は1×60=60 (LC.inc)

もしかすると、作家や芸術家など、とにかく集中して何かをつくる人たちにとっては、メールを返信するという作業自体も「死んでいる時間」なのかもしれません。

もちろん、メールを返信する時間を無くすことはできないかもしれませんが、時間的価値が4倍にもなると言われる、朝のゴールデンタイムをメールの返信や通勤に使ってしまうほど勿体ないことはないでしょう。

今後、時間的価値が高いと言われる人たちは、職場と自宅を一緒にしたり、旅行中に仕事のアイディアを考えたりと、仕事とプライベートをどんどんブレンドささせていくでしょうし、コミュニケーションなども、SNSで1000人同時に接点を持とうとするよりも、1対1を1000回やった方が、長期的には時間的価値が高くなることに多くの人が気づき始めるのではないでしょうか。


↑朝のゴールデンタイムをメール返信に使うことほど勿体無いことはない。 (LC.inc)

毎朝起きると財布にも24時間という時間がぎっしりと詰まっています。

これは、誰もあなたから取り上げることもできなければ、増やすこともできないかけがえのないものです。

参考書籍

1.池上 彰「わかりやすさの罠 池上流『知る力』の鍛え方」集英社、2019年 2.向谷匡史「田中 角栄 絶対に結果を出す『超』時間管理術」三栄書房、2016年 3.ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー ハンソン「NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方」早川書房、2019年

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