February 8, 2019
生活保護が存在しなければ、ハリーポッターは絶対に生まれなかった。

Eye catch photo by Dave Catchpole_flickr
Photo in Sentence by Leading Company

生活保護を受け取けとることは恥ずかしいと思われがちで、働かない人達を税金で支えるなど、けしからんという声が多く聞こえてきます。

しかし、ハリーポッターの著者であるJ・K・ローリングが生活保護を受けながら、本を書いて、世界的なベストセラーを生み出したという話を聞くと、少し違った視点から物事を考えることができるのではないでしょうか。


↑生活保護がなければハリーポッターは生まれなかっただろう。

AIによって様々な仕事が自動化されていく中で、もし最低限の生活費が自動的に保証され、「お金自体が働く目的では無くなったら、人間はどういった行動を取るだろうか?」という考えが少しずつ注目されています。

マーク・ザッカーバーグは、2017年に行った有名なハーバード大学でのスピーチで、自身の経験を踏まえて、「多くの若い起業家がお金の不安があるがゆえに、新しいアイディアを試せずにいる。」と述べ、働かなくても一定のお金を毎月支給するベーシック・インカムを普及させるべきだと力説しました。

他にも、ビル・ゲイツ、イーロン・マスク、リチャード・ブランソン、そして、日本では堀江貴文や2ちゃんねるの開設者、ひろゆきさんなどがベーシック・インカムの良さを語っています。


↑働く理由から「お金」が消えたら、人間はどういった行動を起こすのだろう。

最近では、西アフリカに位置するリベリアという国で、アルコール中毒者、麻薬中毒者、軽犯罪者を対象に200ドルを与えて、ベーシック・インカムの実験が行われました。

驚くことに、3年後、彼らはそのお金を食料、衣服、内服薬、そして、小規模ビジネスに使い、研究者の一人は、「このような人達が、フリーマネーを無駄に使わないとしたら、一体誰がフリーマネーを無駄に使うんだろう?」と首をかしげたのだと言います。(1)

さらに、一流の医学雑誌「ランセット」は、貧しい人はフリーマネーを受け取ると、以前よりも仕事に精を出すようになるという結果を報告しました。

ミュージシャンを目指していた人が20代半ばで、夢を諦めて、特に興味の無い仕事に就く。

確かにこれが現実と言えば、現実ですが、もしお金のために働かなくても良いのであれば、貧しいミュージシャンはとにかく音楽に没頭して、世の中の音楽のレベルがどんどん上がっていく可能性は十分にあることでしょう。


↑音楽に没頭できる環境を提供できれば、音楽のレベルはどんどん上がっていく。

自由に音楽活動を続ける人達が増える分、競争も増えますが、きっとエンターテイメントの質は業界が切磋琢磨することでどんどん上がっていくのです。

政府も会社も「生産性をあげる」と口癖のように言いますが、好きなことをやることが一番生産的なのは恐らく間違いないでしょう。

参考書籍1.ルトガー ブレグマン「隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働」文藝春秋、2017年

/NOT_MONEY_FOR_WORK