October 14, 2017
スマホ所有率ほぼ100%の時代でも、腕時計の需要は減るどころか増えている。

もう、これだけスマホが普及して、ガラケーも含めて時計付きの携帯電話の所持率は100%近くになっているのに、未だに腕時計の広告が街やメディアに溢れているのはなぜなのでしょうか?

時計付き携帯端末が普及すると、腕時計を買うのは一部の時計好きだけになると思われていましたが、今では登山用の時計、ジョギング用の時計、そして、もしくは有名女優などを広告塔にすることで、「○○さんのようになりたい」という欲求をつくり出し、時計付きの携帯端末が普及した現在でも腕時計の需要は減るどころか、むしろ増えているのだと言います。


↑携帯所持率100%に近い現代でも腕時計の需要は減っていない。

これは自動車学校の業界でも同じようなことが言えます。都心に住む人が増え、これからはウーバーや自動運転の車が当たり前になっていく中で、今後は自動車学校に通う若者たちはどんどん減っていくことが予想されます。

30歳で、親から南福岡自動車学校を引き継いだ江上喜朗さんは、将来、自動運転によって車を運転するという需要が無くなっても、「人間が何かを学ぶ」という需要は決して無くならないものだとして、従来の自動車学校の価値である「免許を取る」という概念を「どれだけ学びをエンターテインメント化し、学ぶことを楽しくするか」という価値を提供することにシフトさせました。

つまり、南福岡自動車学校の提供する価値を「免許を取る」ことから、「楽しく何かを楽しく学ぶ」というポイントにピポットしたことで、今後、自動車の運転することが無くなっても、英語を学んだり、プログラミングを学んだりと、事業を様々な方向へ転換することができることでしょう。


↑「乗馬クラブ」のように、将来は車は「クルマ愛好家クラブ」として楽しまれる。

ただの機能性だけに目を向ければ、時計も、電卓も、そして音楽プレーヤーも少し前は一つの端末として成り立っていましたが、いまではただのアプリの一つにすぎません。

場所や時代が変われば、「正しい」と定義されることは変わります。テクノロジーによる労働の代行が進めば、50年後、僕たちの孫からは「昔は人間が一日8時間も労働してたんでしょ?」と言われるかもしれないし、僕たち自身も「昨日は2時間も労働しちゃったよ!信じられない」という会話をしていることも十分考えられるでしょう。


↑時代と場所が変われば、「正しい」の定義はコロっと変わる。

来るべき未来に向けての準備として一番手っ取り早い行動が、アップルが自らiPodの市場をiPhoneで破壊してしまったように、自分の市場を自分で潰してしまうことで、来るべき未来を受け入れれば、「イノベーション、イノベーション」なんて笛を吹かなくても、会社の事業はほっておいても勝手に進化していきます。

時代の流れが速いのであれば、その時代の流れより速く動ければ、時代に取り残されることなんて絶対にありません。

時計付きのスマホをほぼ100%持っている時代に、これだけ時計を買う人がいるんだから、視点の変え方次第ではどれだけでも新しい市場を生み出せることでしょう。

だって、もう腕時計は「正確に時間」を知るためのものではないのですから。

参考書籍

■永井孝尚「これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング」SBクリエイティブ、2016年 ■江上 喜朗「スーツを脱げ、タイツを着ろ! ―――非常識な社長が成功させた経営改革」ダイヤモンド社、2017年 ■ピョートル・フェリークス・グジバチ「世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法」SBクリエイティブ、2017年

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